第3話 何の変哲もない1日を望む私の微かに生じた心情の動揺



 結局、昨日は誰の精も受けること無く過ぎていった。
まだこんな運命を受け入れられない自分がいる。

普通の女の子として育って、民間学校に行って、
勉強して、運動して、友達と遊んで、男の子と恋をして、
泣いて、笑って。
…そんな普通の、当たり前な生活をするのが夢だった。

昔からの一族は特例扱いだ。
特には白巫女であるので“国主”扱いをされた為に、一族とは無縁の人たちと接する機会もないし、
そもそも向こうから近づいてこようとしなかった。
彼らにとってはこの国を救う“神”でもあり、狂った一族の血を引く“鬼”なのだ。

――私に普通の生活は許されない。

「…はぁ」

ため息をつき、窓の外を眺めた。






「葉月の所にでも行こうかな」

「伊吹兄、何してるかな」

「真織の所に遊びに行こうかな」

「天摩と話でもするか」

「…取り合えず、修行しよう」