第2話 最初の夜



 「…というわけで、最初の夜が来てしまったけれども」

は自分の部屋にいた。
彼らが自分から用もなく私の部屋に来ることはない、とウメ婆が言っていた。
それが許婚が複数いる場合の婚姻の儀の掟なのだろうか。

そんなこと言っても、私から男の部屋に行くなんて…。

ちなみにの男性遍歴は皆無。
昔から「清らかでいろ」と言われていたし、修行ばかりしていたので、許婚以外の男の人と深く関わることはなかった。
許婚の彼らとも葉月や天摩以外の2人とは、ずっと会っていなかったのでそんなに深い関係ではないけれど。

「でも、取り合えずもっと相手のことを知らなきゃ、どーにもこーにもね」

に与えられた選択肢は5つ。

・葉月の部屋に行く
・伊吹の部屋に行く
・真織の部屋に行く
・天摩の部屋に行く
・誰の所にも行かない

最後の選択肢は、自殺行為だ。
このまま誰の精も受けずに過ごし続けたら、サルサラと対峙した時、奴の闇に取り込まれてしまうだろう。

…それでも、その選択肢も有りかなと思えてしまう。
世の中が乱れたっていい。
どうせ、サルサラの封印が弱まるのは1年間くらいだ。
1年過ぎれば、あと300年間くらい平和が続く。
1年間くらいいいじゃない。

…無責任にそう思う自分がいた。
の中の正義感と、倫理観が鬩ぎあう。

…さぁ、どうする…。




葉月の部屋に行く

伊吹の部屋に行く

真織の部屋に行く

天摩の部屋に行く

誰の所にも行かない