4.接触
―山中―
1つめの宝玉、朱玉を手に入れてから約20日経った。
20日間、町という町を歩き渡り、山を1つ越え、もう1つの山を越えようとしていた。
「…ふぅ」
歩いても歩いても続く坂道に思わず足が止まる。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい!」
心配したシャルトリューが覗き込んだので、慌てて笑顔を作ったが
それでも足は疲労と痛みが溜まりパンパンにむくんでいた。
「もう少し頑張ってね。あと10分位歩いた所に山小屋があるはずだから」
「ランはこの辺にも来た事あるんだな」
「はい。昔から父の行商に連れて行ってもらっていましたから。
この山道はアーク国の中心の街道ですから必ず通るんですよ」
「へぇ」
彼の言葉に少し元気を取り戻し、は一歩踏み出しレジェンスに声をかける。
「あのさ、ちょっと聞いてもいい?」
「何だ?」
「この大陸ってどのくらい大きいの?」
「そうだな…」
そう言い、レジェンスは世界地図を開く。
「どの大陸です?」
「この小さな大陸がそうです。大陸というよりも島国ですけど」
そうして今度はシャルトリューがアークバーン大陸の地図を開いて見せた。
「半年もあれば縦断できる大きさだな」
「そっか。じゃあ、結構早く宝玉集められそう!」
「あぁ。…しかし、バーン国の動きも気になる。私たちは対立しているしているからな」
「戦いにならなければ良いのですが…」
「難しいですね…。ボクはバーン国にも行く事があるんですけど、
あの国はアーク国を敵対視しています。
力が均衡している今は攻撃を仕掛ける様子はありませんが、少しずつ戦力を蓄えているようです」
「じゃあ、もしかしたらバーン国が宝玉を集めるって事はアーク国にとって脅威なの?」
「…そうだな。あいつらにとっても2年後の天変地異は防ぎたいはず。
しかし、バーン国の事だから自分の国だけを守るような気がするな」
「そんな…」
バーン国のアーク国に対する敵意は半端なものではないらしい。
(こうなったらバーン国よりも早く宝玉を集めなきゃ!!)
はバーン国の人間を想像しながら、頑張るぞと気合を入れた。
「…そういえば、宝玉って集めるだけでいいの?」
「いや、宝玉を8つ集めたらラスティア山という山の頂上にある台座に掲げなければその力は発動しないのだ」
「へぇ…」
この世界には魔法があるし、信憑性のある伝説も存在する。
は記憶をなくしているがこのような現実が未だに信じられない。
きっと自分が記憶をなくす前にもこのような体験はした事がないのだろう。
しかしこの摩訶不思議な世界をは不安を抱きながらも何故か楽しんでいた。
毎日毎日が新しい発見の連続。
それに…出会った4人はそれぞれ性格は違うけれどみんないい人だ。
本当に旅に同行させてもらってよかったと思う。
「さ、山小屋に着いたよ」
「ではここで一休みしよう」
「うん!!」
一同が荷物を下ろすと、ククルはキョロキョロと辺りを見回した。
「…ん?ここ、薪がないんだな」
「じゃあ薪を拾いに行かなきゃ。
ついでに飲み水や食料も確保しておいた方がよさそうですね」
「そうですね。では、役割を決めましょうか」
(私は何をしようかな…。)
*薪拾い
*水汲み
*食材集め
*昼食作り
*山小屋周辺の見回り