「じゃあ私、山小屋の周辺、見回りします」
「あ、ボクも行くよ」
「じゃあ一緒に見回り頑張ろ!!」
「うん!」
―山小屋の裏―
「…わぁっ!?」
はいきなり木の枝につまずく。
「、大丈夫!?」
「あぅ…。大丈夫…」
(いや、足を軽く挫いたかも…)
恥ずかしいやら情けないやらで起き上がろうとした彼女の足にビリッと痛みが走った。
「立てる?」
ランがに手を差し伸べるが…。
「ぃたたたたっ!!」
あまりの痛みで自分の体重を支えきれず彼に向かって倒れかかる。
「わ、大丈夫!?」
の重みで一緒に倒れこむかと思ったが、ランはガシリと彼女を支えた。
「ご、ごめん。ランくん」
「ううん、いいよ。それより足、挫いたの?」
「…そうみたい」
「じゃあ捻挫に良く効く薬草塗ってあげるよ」
そう言うと、ランはひょいを抱えた。
「え!? ランくん、私、重いから…!!」
「え〜?すっごく軽いよ。ボクがいつも持ってる荷物に比べたらずっと楽だよ!」
(いつも背負ってるリュックの事か。そんなに重いんだ…。
っていうか、道具とか全部持ってもらってるもんなぁ。今度、手伝おう)
申し訳ない気持ちと恥ずかしさでランの顔がまともに見れなかったが、ランは何も言わず歩き続け、山小屋にたどり着いた。
「…これでよし」
ランの煎じた薬草がの右足首に塗られ、その上からガーゼと包帯が巻かれている。
「ホントにありがとう、ランくん」
「ううん。…でも、は当分歩くの不自由だね。大丈夫かな?」
心配そうにランが彼女の包帯を見つめる。
「大丈夫、大丈夫!今日は大人しくしとくから」
「そうだね。今日、明日は無理しないようにね。
きつかったらボクに言って?その時は抱えてあげるよ」
可愛い笑顔なのにも関わらず逞しいというギャップを持つランには思わず見惚れた。
(ランくんって、可愛い顔してるけどパワフルだよなぁ…。
今までも結構男らしかったし…。やっぱり商人として修行してるからしっかりしてるんだろうなぁ)
「…あのさ、」
「何?」
「ボクって、から見て少しは男らしいかな…?」
「え!?」
思いがけないランからの言葉には戸惑う。
戸惑うといっても、彼が男らしくないという事ではなく、男らしいと意識していた時にそのような質問をされたからだ。
「どう…?」
「そ、そりゃ勿論、男らしいよ。さっきだって軽々私の事抱えちゃったし…」
「そう?あはっ、嬉しいな」
(あ、こういう所は可愛いなぁ)
「じゃあ、はここで荷物の番してて?」
「え、でも…」
「その足じゃ見回りは無理でしょ?今日は大人しくするって言ったの誰?」
「う…。わかりました」
「じゃあ、行ってきます。もし何かあったら呼んでね」
「うん」
そうしてはランを見送った。
(何かドキッとしちゃったな)
そんな事を思いながらは彼の手当てしてくれた右足首を見つめていた。
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