「じゃあ私、薪拾いします。枯れた木でいいんですよね?」
「はい。私もご一緒しましょう。1人では重いでしょうから」
「ありがとうございます」
―森の中―
「結構薄暗いですね、この森」
「そうですね。迷わないように気をつけてくださいね」
「はい」
そう言い、とシャルトリューは薪を拾っていく。
(そういえばシャルトリューさんって…。)
ふと朱玉があった洞窟での事を思い出し、手を止めた。
「シャルトリューさんって魔法が使えるんですよね?」
「はい」
「いつから使えるんですか?」
「物心ついた頃から使えました」
「へー。…魔法って誰でも使えるんですか?」
「使える者もいれば、使えない者もいます。
しかし私は使おうと思えば誰もが使える力だと信じています」
「使おうと思えば誰もが…?」
何だか質問ばかりだなと思ったが、それでも気になるので頭に浮かんだ事を全て質問した。
そんな彼女にシャルトリューはゆっくり優しく答えてくれる。
「…そう。魔法とは強い思いだと思うのです」
「強い思い…」
「、貴女にもきっと使えるはずです。貴女の瞳には強い輝きがあります」
「あ、ありがとう…」
(魔法かぁ…。私も使えたらいいな)
そうして2人は再び手を動かし薪を拾っていく。
(あ、この木も拾っておくか)
そう思い、は枯れ木に手を伸ばす。
すると…。
「あ…」「あ…」
シャルトリューと手が触れた。
「あ、ごめんなさいっ」
何故か謝ってしまう。
「いえ」
顔を赤くするとは反対に穏やかに微笑むシャルトリュー。
(シャルトリューさんってあんまり激しい感情を出さないよねぇ…)
「…私の顔に何か?」
いつの間にか見つめてしまっていたらしい。
シャルトリューのアップを思いきり意識してしまい、は思わず後ろにのけ反り尻餅をつく。
「大丈夫ですか?」
「は、はい…」
(は、恥ずかしい…)
「立てますか?」
そう言うとシャルトリューは彼女に手を差し出した。
「あ、ありがとうございます」
おずおずとは差し出された手を握る。
「貴女の手は小さいですね、」
「そうですか?
あ、でもシャルトリューさんの手が大きいから私の手が凄く小さく見えますね」
の笑顔を見て彼も目を細める。
「…不思議ですね。
貴女とは半月ほど前に出会ったばかりだというのに、以前から知っているかのような安心感を覚えます」
「え…」
「貴女と一緒の旅はとても楽しくて、嬉しいものになりました」
「…私も、嬉しいです!!」
少し頬を赤らめ微笑むシャルトリューを見ては何だか嬉しかった。
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