第2章 第14節
魔王軍領からサンティアカへと戻る一行はマラダイで宿を取ることにした。
マラダイは大きな川から水を引き、真ん中に噴水のある街である。
そしてその水は地下へと流れて濾過され、再び引き上げて生活用水として使われる。
そんな水の豊かなマラダイは、傭兵団領の中ではサンティアカの次に大きな街だ。
「、ゆっくり休めよ。顔色悪いぜ」
「あ……、はい」
食事後、皆が部屋に戻ろうとして席を立った時にカイトに声をかけられたは笑顔で頷いた。
しかし、彼の言う通り顔色は悪いだろうと自覚している。
魔王軍領から出てからは少し頭痛が和らいだように思えるが、それでもまだ疼いているのだ。
とりあえず全身の脂汗のようなべたつく汗を何とかしたかった為、水場で布を濡らし、部屋に戻って簡単に身体を拭く。
そうして服を軽い素材のものに着替え、ベッドにドスンと腰掛けたと同時に部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい?」
慌てては駆け寄り、ドアを開けた。
ドアを開けた先にいたのはある人物だった。
「カイトさん、どうかしましたか?」
「何かありましたか? アステムさん」
「リットンさん……」
「キャスカ――じゃなくて……」