第11節
草が生い茂り、木々によって光を遮られた薄暗い森を4人と1匹は進んでいく。
道といえるような道は30分も歩くとなくなってしまった。
まさに獣道というような細く草木の間を抜けるような道を、枝や葉を避けながら奥へと歩を進める。
「こんな広い森の中で人なんて探し出せるのかよ? もうすぐ夜っていうのに」
カイトが寄ってくる虫を手で払いながら愚痴をこぼした。
「どちらに進んだか、全然わかりませんもんね」
は辺りをキョロキョロと見回すが、人が通ったような形跡は見当たらない。
「うな」
「どうしたの?キャスカ」
「うな。うなな」
に何か話しかけるように鳴くと、キャスカがパタパタと上空へ飛び上がった。
「キャスカ!離れると迷子になるよっ!!」
慌てて彼女が追いかけようとするが、リットンがポンと肩に手を置いた。
「大丈夫さ、。キャスカが上空から捜してくれるようだよ」
「リットンさん」
ニコッと笑顔を向けられると、安心したのかは頷いた。
その言葉を聞き、アステムとカイトも歩を止める。
「……日が落ちるな」
15分程、時間が過ぎた。
枝の間から覗く空を見て、アステムが呟く。
「あ、ランタン出しますね」
は腰につけたバッグからランタンを取り出した。
マッチを擦って芯に火をつける。
するとその一帯だけポワッと温かい光が浮かび上がった。
「キャスカ、大丈夫かな」
ランタンを持っていない手で腕を摩りながら暗くなった空を見上げる。
「……寒いのか?」
「え、あ、はい。少しだけ」
の様子を見ていたアステムが声をかけた。
「何だ、早く言えよ。完全に体調が良くなったわけじゃないんだからな」
「今日は少し冷えるね。北の大陸からやってきた風が強いようだ」
北といっても正式な位置はティン島から北西に位置するが、
その大陸は1年の半分は雪で覆われているのに、春季になると草花が咲き一気に大陸は緑色へと変わる。
サウスランドにいた頃、はその大陸の話を昔話のように聞いていた。
いつかお金を貯めてその大陸にも行ってみたいと思っている。
さすがに傭兵の仕事では、サウスランドよりも離れたその大陸へ行くような依頼はないだろうから。
すると、北の大陸に思いを馳せているの前にパタパタと羽音を立ててキャスカが現れた。
「キャスカ!よかった、無事で」
「うな」
がキャスカを抱き締めるとキャスカは嬉しそうに目を細める。
「で、見つかったのか?」
カイトがキャスカの頬をつつくと、キャスカは得意そうな顔をして再びの手から飛び立った。
「うなな!」
そう言って前を進んでいく。
「どうやら見つけたみたいだね」
「あぁ。いくぞ」
そして一行はワイプ探索を再開する。
そうしてキャスカの後をついて森の奥へと進んでいると、一番後ろを歩くの隣にある人物がやって来た。
「カイトさん」
「アステムさん」
「リットンさん」