「カイトさん。どうかしました?」
はカイトの顔を見上げる。
「お前、さっき寒いって言ってただろ?」
そう言うとカイトは「ホラよ」と首に巻いていたロングマフラーをに差し出した。
「え……でもカイトさんが」
「いいよ、俺は。このくらい寒くも何ともないし」
なかなかマフラーを受け取ろうとしない彼女の首にカイトはふわりとマフラーをかける。
「あ、ありがとうございます」
マフラーの温もりにはホッと心と身体が温まっていくのを感じた。
カイトの優しさも心を温かくさせる。
――あ、カイトさんの匂いがする。
火薬とオイルの混じった匂い。
普段、銃を使わないカイトだけれど、寝る前はいつも手入れをしている。
常に腰につけて持ち歩いているので、恐らくその匂いが洋服にもついてしまったのだろう。
それでもは嫌な気持ちはしなかった。
寧ろその匂いに安心感すら抱いている。
そういえばいつもカイトさんは戦闘の時、私の前に出て戦ってくれてる気がする。
自分が無防備な時、「あ、危ない」と思った時、いつも火薬とオイルの混じった匂いが微かに香り、
目の前に現れるのはカイトの背中と揺れるロングマフラーだった。
「ありがとうございます、カイトさん」
は立ち止まって穏やかな声で礼を言った。
「そんなに畏まらなくてもいいって」
少し照れながらカイトは「いくぞ」と彼女の背中を叩き、前へと進む。
その時、カイトの左側の首筋が見えた。
――そういえばカイトさん、首に大きな傷跡が。
以前、カイトを起こしに行った時に見た傷跡を思い出す。
暗くてもその傷跡の凹凸ははっきり窺えた。
……聞かない方が、いいこともあるよね。
時々カイトが表情を曇らせるのは、その傷が原因なのだろうか。
そんなことを思いながら、は口を開く。
「……カイトさん、首、寒くないですか?」
は少し先を行くカイトの袖を二、三度引っ張って彼の顔を見上げた。
……いつも隠すようにマフラーを巻いてるカイトさん。
もし傷跡を気にしているのなら、私なんかの為に大切なマフラーを取らなくていいんですよ。
そんな気持ちで見つめていると、カイトはフッと笑った。
「お前、心配性だな。俺は大丈夫って言っただろ?ってかスペア持ってるし」
そう言ってカイトはバッグからマフラーを取り出し、巻いてみせる。
「あ、そうですか。ならいいんですけど」
もホッとして笑顔を浮かべる。
「お揃いですね」
「アホか」
そんなことを言いながら2人は笑った。
目の前のカイトの笑顔にはホッとする。
しかし胸がキュンと締め付けられてしまうだった。
うわ〜こんなにも更新が遅くなってしまってすみませんっ!!
分岐はしましたが……。約2ヶ月とちょっとぶり……。
本当に申し訳ありませんっ(><)
次第に……それらしくなってきましたでしょうか……。
まだまだヒロインさんの一方的な視点からですけども。
というわけで、まだまだ続くであろうmissingを今後もどうぞ宜しくお願いします!
それでは、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!!
吉永裕 (2006.10.8)
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