「アステムさん。どうかしました?」
はアステムの顔を見上げる。
「寒いのなら、使え」
そう言ってアステムは着ていた上着を脱いでに差し出した。
「え、でもアステムさんが……」
「俺は寒さに耐性がある。構わず着ろ」
そうしてアステムは呆然としている彼女の肩に上着をかけた。
「あ、ありがとうございます」
彼の優しさには気恥ずかしさで固まってしまう。
「……動きにくいかもしれないが、暫く我慢しろ」
「はい。大丈夫です」
そう言うとアステムはさっさと前を歩いていってしまった。
その後ろを歩きながら、は彼の上着に手を通してみる。
アステムさんの上着、大きい……。
手や尻がすっぽりと隠れてしまうようなサイズで、それがアステムの大きさを実感させる。
――あ、アステムさんの匂いだ。
上着の前を閉めていると、ふわりと草木の匂いがした。
薬草や木の実を煎じた匂い。
常に薬草などを持ち歩いているので、恐らくその匂いが洋服にもついてしまったのだろう。
それでもは嫌な気持ちはしなかった。
寧ろその匂いに安心感すら抱いている。
そういえば、この前、アステムさんに弓の射方を教えてもらった時にこの匂いがした気がしたけど。
――アステムさんの匂いだったんだ。
はクスっと小さく笑う。
「ありがとうございます、アステムさん。とっても温かいです」
はアステムに追いつくと、立ち止まって穏やかな声で礼を言った。
「……そうか」
言葉はそれだけだったが、穏やかに微笑んで彼はの頭に手を乗せる。
そんな仕草に顔が熱くなってしまうだった。
*一番下にアホなオマケがあります^^; よろしければどうぞ。
うわ〜こんなにも更新が遅くなってしまってすみませんっ!!
分岐はしましたが……。約2ヶ月とちょっとぶり……。
本当に申し訳ありませんっ(><)
次第に……それらしくなってきましたでしょうか……。
それでもまだまだ……ですけども。
というわけで、まだまだ続くであろうmissingを今後もどうぞ宜しくお願いします!
それでは、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!!
吉永裕 (2006.10.8)
次に進む メニューに戻る
―おまけ―
「……そういえば、。寒いのは平気なのかい?」
先を歩いていたリットンが振り向く。
「あ、はい。おかげさまで――」
「何だね、!その可愛い恰好は!!」
「は、はい?」
突然、ガッとリットンに肩を掴まれた。
「そうか、アステムの上着を着ているのだね。 華奢な身体に大きな上着……素晴しいな。
アステム、君は本当に良い仕事をしているよ」
「「「……」」」
リットンを除いた全員の顔が固まる。
「、そんな変態は置いてさっさと行くぞ」
「え?あ、はぁ……」
「……」
カイトとアステムはを挟むように立ち、リットンを置いて先へと進んだ。
……私の中でリットンは変人、いや変態になってきている……^^;
リットンファンの方、すみません(;´▽`A``