ユウはミカサとミュウに一緒に食事をしようとメッセージを送る。
するとミュウはブースにいたらしくすぐにユウのブースに顔を出し、ミカサからはややあって返事があった。
仕事の区切りがつくまでもう少しかかりそうだと書いてある。
ユウはミュウと二人で話でもしながら彼の仕事が一段落するのを待つことにし、そのことを書いて再びメッセージを送った。
三人で食事を終えた後、ミュウの提案で三人でユウのブースのラグで昼寝をすることになった。
食後15分程の昼寝は頭をすっきりとさせるので午後の作業効率が上がるのだそうだ。
早速三人はいつものようにミュウ、ユウ、ミカサと並んで横になった。
触り心地が良く毛足の長いラグは身体をふんわり受け止め、幸せな心地でユウは目を閉じる。
ずっとこのまま三人で仲良く過ごしていきたい、とユウは思った。
何一つ不満のない職場で働けて、自分のやりたい研究もさせてもらえて、すぐ近くに大好きなミュウとミカサがいる。
治療が済めばナヲミだって一緒にいられるし、ナナミのALができればナナミとも再会できる。
こんな素敵な場所にいられてユウは幸せだと心から感じていた。
「ねえ、ユウ、ミカサ。まだ起きてる?」
「ええ」
「私も起きていますよ」
体勢はそのままでミュウが二人に声をかけた。
ユウたちも目を瞑った状態で返事をする。
「――ずっとさ、こうやって一緒にいたいな」
「そうですね。私も今そう思っていたところです」
「僕としてはそんな狭い世界はどうかと思いますけど…、
でもまぁ、それでもいいですけどね」
子どもたちが秘密基地で秘密の話をしているようなわくわくする気持ちで、
三人は、あはは、ふふふと笑い声をあげて笑った。
ユウは隣で寝ているミュウとミカサの手を握る。
その手を彼らは優しく握り返してきた。
「約束だよ、ずっと一緒にいようね」
ミュウのその言葉にユウもミカサも頷き、三人は意識を手放した。
――とある病院の廊下で、看護師二人が立ち話をしている。
すぐ隣の二つの病室で眠っている患者たちについてだった。
「――あの三人、ずっと目が覚めないんですって?」
「そうなの。原因は分からないんだけどね。
ミュウ君が事故に遭った次の日から他の二人も眠った状態が続くらしいわ」
「三人とも特に異常はないんでしょう?」
「ええ。外傷もないし脳に病変もなかったみたい。
でもね、三人ともレム睡眠状態が続いているみたいなの」
「それが目覚めないことに関係あるの?」
「私には分からないわよ。
でも、先生方が言うにはそれしか原因が見当たらないって」
「それだけだったら少し刺激を与えたり時間が経ったら起きそうなものだけど」
「それが全然起きないから先生方が困ってるんじゃない」
「でも、ミカサ君はともかくあのユウちゃんって子は、全然関係のない子なんでしょう?
ただのご近所さんってだけで。
…確か年齢はミカサ君と同じ9歳だった筈だけど」
「そうそう。家は近所だったらしいけど、全然面識はなかったみたいよ。
だってほら、ユウちゃんって噂の…」
看護師はただでさえひそひそと話していた音量を更に絞って囁くような声で話した。
相手の看護師もうんうん、と頷いている。
「他の看護師たちの間ではもしかしたら外的要因もあるんじゃないか、なんて噂されてるみたいよ」
「外的要因って?」
「誰かが大規模な呪いをかけたんじゃないかとか、軍が地下でガス兵器を開発してるんじゃないかとか」
「ええっ!?そんなまさか!」
思わず叫んだ看護師の声が廊下に響いた。
慌てて二人は辺りを見回し、誰もいないのを確認してほっと胸を撫で下ろす。
「――そんな噂はともかく。
あの三人、暫くは様子を見るらしいわよ」
「そっか、早く目が覚めるといいけど」
「それにしても、レム睡眠状態って……三人とも夢でも見続けてるのかしらね」
-夢の住人END-
サイト11周年に間に合ってよかった…。
最初のENDはバッドエンドです。
ここまでの内容ではまだ真相は分かりませんが、何となく予想は付くでしょうか?
よろしければもう一つのバッドエンド、ミュウエンド、ミカサエンドもご覧下さいませ。
裕 (2016.11.3)
*ミュウルートへ
*ミカサルートへ
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