隣の石田くん 第6話?
――そうして、生徒会企画の「鬼ごっこ」のルールや褒賞などが決められた。
企画段階で何だかんだあったもの、教師たちは簡単に説得でき…。
ちょっと我が校の放任さに呆れた。
…そんなこんなで、各学級に配る文化祭の資料を用意し、廊下や掲示板に生徒会企画のポスターを貼って回る。
生徒会イベント『the 鬼ごっこ』
皆さんが鬼となり、生徒会長と副会長を捕まえるゲームです!!
+ルール+
・時間は30分(前半:石田、後半:及川の計1時間の予定)
・ターゲット(石田と及川)のスタート5分後に、鬼(参加者)がスタート。
・及川はハンデの為、ラスト10分になったら生徒会メンバーが1人ずつ護衛する。
・鬼は受付の際に渡されるバッジを必ず胸に目立つようにつけること。
・ターゲット捕獲の判定は、受付の際に渡される色つきの輪ゴムをターゲットの左手首につけ、5秒間キープできたら捕獲とみなす。
・鬼は企画不参加の者との情報交換禁止。鬼同士の情報交換は可。しかし携帯電話等の電源は切っておくこと。
+褒賞+
・1週間、生徒会長もしくは副会長の座をお譲りします。(生徒会室で生徒会の活動が体験できます)
・1日、生徒会長もしくは副会長を貸し切れます。(部活の助っ人や委員会の手伝いなど、良識の範囲内でご用命ください)
・売店や食堂で使える商品券1000円分(協力してくれたおばちゃん、ありがとう!!)
…というわけで、教師たちを説得できたのは、“部活の助っ人や委員会の手伝いなど”という美しい例を挙げたからだと思う。
もし1日デートできます、とか書いていたら…さすがに没だっただろう。
そんなことを思っていたものの、いつの間にか生徒たちの間で“1日貸切=1日デート”という噂が広がり…、
特に女子たちは楽しみにしているようなことを人づてで聞いている。
――そんな感じで生徒会の企画の方はなかなか評判も良さそうだ。
しかしのんびりしてはいられない。
残った日数でクラスと生徒会の両方の準備をせねばならず、毎日、生徒会メンバーは外が暗くなるまで残っている。
「及川のクラスは何するの?」
皆で校門に飾るアーチの土台を作っていると、悠樹くんが声をかけた。
「あ〜、うちはねぇ…」
私はチラッと石田くんを見る。
「メイド&執事喫茶だ」
「「ブー!!!」」
石田くんの言葉を聞いた瞬間、隣で釘で飾りを打ちつけていた遠野くんと東ちゃんが噴出した。
花を作っていたミヤも手を止めて笑っている。
「笑うな!!! お前らが俺に執事は無理とか言ったからやってやるんだ。
――俺は何でもできるってことを証明してやる」
そう言って石田くんはダンダンと釘を打ち込んでいく。
「…とか何とか言ってるけどホントは多数決で決まっただけなのよ。 石田くんはバッティングセンターやりたがってたし。
自分でも執事は似合わないって分かってるんだから」
こそっと悠樹くんに耳打ちする。
すると彼は声を殺して笑っていた。
それを見た石田くんは立ち上がると私たちに金づちを向ける。
「……お前ら、買出し行ってこい。花に使う色紙とキラキラしたモールみたいな奴が足りねぇ」
「わかった。一応、領収書は貰って来た方がいい?」
「おう」
悠樹くんが立ち上がる。
そんな彼の背中と石田くんを交互に見る私。
「…ボケッとするな、さっさと行けよ」
目が合った石田くんにそう言われ、慌てて立ち上がった。
「ごゆっくり」
こっそりそう言うと、ミヤがニヤリと笑う。
――気を遣ってくれたのかな、石田くん。
何だか少しくすぐったいような恥ずかしいような気持ちがしながら財布を掴むと悠樹くんを追うように生徒会室を飛び出した。
外は薄っすらおぼろ雲が広がって、時間の割には暗かったけれど、悠樹くんの隣を歩く私の心はとても弾んでいた。
以前、主人公さんの恋愛も気になると拍手でメッセージを頂いたので
恋愛もちらりと含ませつつ、腐れ縁も深めつつ…していけたらな〜と思ってます。
ラストは…ね、どうなることやら(=´∇`=)
吉永裕 (2008.12.14)
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