隣の石田くん  第10話?



 教室に戻った私たちは、用意していた服を持って更衣室に向かう。
――この日の為にわざわざ中古屋で買ってきたメイド服は、中古とはいいつつも状態は新品同様で着ることにそこまで抵抗はなかった。

 私が着る服は豪邸に仕えるメイドさんって感じのロングスカートで落ち着いた服だし、そこまでアッチ系のメイドっぽくないしね。

そう思いながら服を着、ヘッドドレスとやらを頭につけて周りを見ると可愛いミニのメイド服を着たクラスメイトたちと目が合う。

「「キャー!!!」」
「なっ、何!?」

目が合った途端、叫ばれるので自分の着方が間違っているのだろうかと鏡で洋服を上から下まで眺めるが、別に悪い所はなさそうだ。

「何か変…かな?」
「違う!その逆!!!」
「似合いすぎよっ!」

 ――う、嬉しくない!!!!!!

「美桜はミニでコテコテふりふりした奴より、こういう方が似合うよね〜」
「うんうん、顔も落ち着いた大人顔だし。これを選んできた子、グッジョブだわっ!」
「た、確かに…私に皆が着てる服は似合わなそう」

その後、メイド組が着替えを終えてカフェの準備を整えた教室へと戻ると先程よりも一層大きな歓声が上がった。

「「ぎゃー!犯罪だろ、そりゃ〜!!!」」
「「可愛い〜っ!!」」

男女共に多種多様な驚き方をされる。
そういえば、教室に戻る時も生徒たちの視線が痛かったっけ…。
やはりこの恰好をした女の子がぞろぞろ歩いていたら驚くか――と思っていると、パシャパシャと身の回りでフラッシュ音が。
次から次へ「次、私と撮って〜」と携帯とデジカメを持った子がやってくる。
授業中は凄く真面目なクラスメイトたちなんだけど…遊びのことに関しても一生懸命な人たちだ。
すると、廊下から次々と「きゃあぁ〜!!!」と黄色い歓声が上がり、それがカウントダウンするように次第に大きくなってくるのが聞こえてくる。

『ガラッ』

「・・・・・・・・・・・・・」
「「「ぎゃー!!!!」」」

教室のドアが開き、一瞬、一同固まってしまったが、すぐに叫び声を上げた。

「なっ、何で!? 執事の筈じゃ…」

そう言う私の視線の先には、黒い細身のスーツに、大きく胸元が肌蹴た派手なシャツを着ている石田くん。

「ん?何か俺には執事は似合わないから、ホストやれって言われた」
「いや、確かに執事よりホストの方が似合ってるけどね…。ってか似合い過ぎて怖い」

そんな彼はたちまち皆に取り囲まれ、再び教室内はフラッシュ音と光で包まれる。
…教室はメイドと執事とホストとコックが混ざり合った不思議な空間と化していた。







また短くてすみません…。
でもこういう1シーンを書くのって凄く好きだったりします。
クラスのノリがいいと祭系統は楽しそうですよね^^
恐らく生徒会長のいるクラスは祭ごととか物凄く一致団結して体育祭とかクラスマッチとか絶対1位!!!って感じな気がします。

なので今回もこんなノリで^^;

もっとイラストとかの資料があれば、ヒロインさんの着ているメイド服のイメージとか掴みやすいかな〜と思ったのですが間に合いませんでした…。
実際に私、一度メイド喫茶に友達(女の子)と行ったことがありますが
その時いたのが、ヒロインさんのようなロングスカートのおしとやかで貞淑な感じのメイドさんでした。
カウンターにはミニスカートでフリフリした女の子もいましたが
そのおしとやかなメイドさんに「やられた!」とカルチャーショックを受けてしまいまして。
いやはや、私の中のメイドさんはミニスカだとばかり思っていましたので…。

と、話がそれてしまいましたが、ヒロインさんは時々行動が荒いですけれども、基本的には大人しくて後ろから見守るタイプの人なので、こういう衣装に。
生徒会長のホストは…まぁ、執事より似合ってるだろうなとホントに素直に思ったので。
それに会長が「お帰りなさいませ、お嬢様」とか…怖いかな、と(;´▽`A``

…とまぁ、色々ツッコミどころが満載なのですが、このくらいにしときます^^


吉永裕 (2008.12.14)



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