不器用な彼女 第12話
匡のゼミ室で食事をしながら過ごすこと数十分、夏香が「うーん」と唸り声を上げた。
「どうした?」
「うーん、急激にアイスが食べたくなっちゃったんだけど、もうこんなに食べてるし太るかなぁ、太るよねぇ?」
そう言いながら彼女はテーブルの上のすっかり空になった数枚の皿を見てため息をつきながら俯く。
「そんなに気にしなくても太っていないだろう?」
「うん、全然じゃん」
「寧ろ痩せてると思うけど」
そんな美景たちの言葉に背中を押されたのか、にっこりと笑って夏香は立ち上がった。
「じゃあ、買ってくる! 皆はいる?」
「俺、いる〜!」
「俺はもういいかな」
「私も今はいい」
「了解〜、んじゃ行ってきます」
夏香はそう言って部屋から出て行った。
一緒に行こうかと思っていた美景は言い出すタイミングを逃し、浮かしかけていた腰を再び下ろした。
これまで夏香が主導で話していたので急に話題がなくなってしまい、残された3人は少し微妙な雰囲気を感じながら話題を探す。
そんな時、美景はふとあることを思いつく。
「ちょっと手洗いに行ってくる」
「飲み物を買ってくる」
「少し学部内を見て回っていいか?」