隣のくん 第20話?
次の日、可愛らしい1年生の女子3人に呼び出され、私は昼休みに屋上へ向かう。
「あの…何でしょう?」
何となく理由は分かってはいたが、とりあえずそう聞いてみた。
すると向かって左側の子がキッとこちらの顔を睨むように見据える。
「先輩のこと、どう思ってるんですか? いつも一緒にいるように見えるんですけど」
言葉は丁寧だが、言い方はかなり刺々しい。
「どうもこうも、ただのクラスメイトっていうのと生徒会メンバーっていうだけで…私は別に。
それに私…好きな人、他にいますので……」
こう言えば納得してもらえると思っていた。
しかし、反応は予想とは違った。
「好きな人がいるのに、さんにちょっかい出してるなんて…」
…え?
「二股かけるなんてサイテー」
えっと…??
「この子、本気で先輩のこと、好きなんですよ。 なのに先輩に近くでうろちょろされたら
本気で先輩を好きな人の迷惑じゃないですか」
「ちょ、ちょっと…」
すると真ん中で黙って立っていた女の子がメソメソと泣き始めた。
泣きたいのはこちらだ、と思う。
完全に彼女らの自分勝手な被害妄想なのに、何故こんなに心当たりのないことで自分が責められなければならないのだろう。
「まぁ…確かに、貴女たちがくんに憧れるのは分からなくもないけど……
でも、私は本当に何とも――」
「!」
タイミングがいいのか悪いのか、突然、この騒ぎの元であるくんが屋上のドアを思い切り開ける。
「何やってんだよ、昼休みはミーティングするって言っただろ」
「あ、ごめん…」
「…って、何か取り込み中だったか?」
この雰囲気に異様なものを感じ取ったのか、彼は訝しげな表情で4人の顔を見回す。
「…あ、いや別に大したことじゃなくて。
――あ!この子たちがね、くんの大ファンらしくて写真をね、欲しいなぁって相談されてたの!!
そうだ、くん。折角だから写真、一緒に撮ってあげなよ!」
まくし立てるようにそう言うと、私は会長を彼女らの横に連れて行き、彼女らに携帯を出させる。
そうしてその携帯を借りて写真を撮ってやった。
すると彼女たちは複雑な表情をしていたが、それでも嬉しそうでなんとかその場は逃げ出すことに成功した。
「おい」
「…何でしょう」
バタバタと生徒会室に向かう途中、彼が不機嫌そうに呼び止める。
「何か変な感じだったけど、ホントにあいつらとお前、仲いいのか?」
「…まぁね。私、女の子には人気あるから」
無理に笑顔を作って強がる必要もないと思ったけれど、きっとこの人は自分が原因だと知ったら酷く怒りそうだし、自分を責めそうだ。
だからこのまま時間が経って、皆の誤解が解けるのを待とうと思った。
「それにしても、ホントにくんって年齢問わず人気だよね〜」
「っは!まぁな」
――くんは自信たっぷりに笑ってるのが、一番似合う。
それに、ちょっとした意地悪なら、くんを好きだった時に当時の彼女さんとその友達にされたことあるし、
全然こんなの大したことない。
自分は悪いことしてないんだし。
だけど…
何で「くんに憧れるのは分からなくもないけど」なんて言ったんだろう。
彼を生徒会長として凄いと思うことはあっても、いいなと思うことなんて今までなかったのに。
――でも、今は昔より苦手じゃないな。
何だか変な感じ…。
ホントにいい加減終らせなきゃ!
…と思いつつ、なかなか進まないのですけれども。
とりあえず、当分の間はこの作品を優先させたいと思います!
ここまで読んでくださったお客様、ありがとうございました^^
吉永裕 (2007.11.23)
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