第2章  第9節


 

 満月の日から2日後、未だに捜索隊を壊滅させた犯人は見つからず、犯人説の噂も絶えない中、カイトたちはギルドにやってきた。
ドアを開けた瞬間、静まり返るギルド内。
傭兵たちはざっと一瞥し、先程とは違うざわつきが辺りに広がっていく。 
そんな雰囲気には力なく視線を落とすが、カイト・アステム・リットンの3人が笑って彼女の背中をポンと押した。

「パッシが待ってるぜ、行くぞ」
「……はい」

 皆の優しさに触れ強張っていたの表情が緩んでいく。
上げた視線の先ではカウンターの向こう側からパッシが手招きしている。

「おはようございます、パッシさん」
「よぉ、もう体調はいいのか?」
「はい。ここ数日は頭痛もありませんし、怪我も治りました」
「そうか。 ……何かあったらすぐに言えよ?お前は大事な仲間なんだからな」
「ありがとうございます、パッシさん……」

 彼の優しさに心の温まる思いを抱きながらは今日初めての笑顔を見せた。

「……じゃあ、改めてお前たちに依頼だ」

 そう言うとパッシが先日見せた依頼書を再び取り出してカウンターの上に置く。

「施設調査、行ってくれるか?」
「……暫くここを離れていろ、ということか」

 アステムが穏やかに目を伏せた。

「ま、お前たちが帰ってくるまでにあんなデタラメな噂なんて消しとくからよ」
「おう、頼むぜ」

 パッシが親指を立てると、カイトは軽く頷く。

「では、詳細を教えてもらえるかね」

 全員分の椅子を用意したリットンは、の為に椅子を引き彼女を座らせ続いて自分も腰掛けた。
カイトとアステムも腰を下ろす。
するとパッシは各自の飲み物をカウンターに置き、地図を取り出した。

「少し遠いが、魔王軍領のリヴァイに向かってくれ。
 ここから西にあるマラダイの関所を越えて南西に進んだ先にある村だ。 着くまでに5日はかかると思う。
 リヴァイに着いたらその周辺に新しく建てられた施設があるらしいからそこを調べてくれ。
 そこで何が行われているのか……まぁ建設目的ってことかな、その調査だ。
 今回は魔王軍には了解を取らない極秘依頼ってことになってるから目立たないように潜入するか、
 バレないように人型魔物にそれとなく聞くかしてくれ」
「そういやあの辺は知能の高い人型魔物が住んでるんだったな」
「あぁ、リヴァイは傭兵団の領土に近い場所だから魔物も少なくて治安は比較的良いとされている。
 ただ、お前たちも感じてるように、ここ最近はどの地域でも魔物の増加とその被害が報告されてるから油断はするなよ」
「了解。じゃあ契約成立、な」

 そう言うとカイトたちは名前を記入すると、パッシから受け取った地図をアステムが上着の内ポケットに入れる。

「じゃあ、準備すっか」
「はい!」

 大きく頷くとは立ち上がった。
彼女のバッグに自発的に隠れていたキャスカが小さく「うな」と鳴く。

「……魔王軍領か」

 アステムも立ち上がり、踵を返した。

「久々に私も鎧を着込もうかな」
「鎧っつったって見せ掛けだけの軽いプレートじゃねーか」
「カイト、見た目も大事なのだよ。いかにも強そうな外見をしていれば、余計な戦闘を回避できるかもしれないだろう」

 リットンとカイトはいつもの会話をしつつ出された飲み物をグッと飲み干して腰を上げる。

「じゃあ、気をつけて行ってこいよお前ら!」

 パッシがグッと親指を立てるとたちは全員同じようにしてニッと笑い、ギルドを後にした。

「――行くか、リヴァイに!」
「はい!!」

 久しぶりの仕事の依頼に、の表情は意気揚々としている。
紛れもなく傭兵の仕事は危険を伴うものの、彼女にとっては生活の一部であり、生きていく為に必要不可欠な手段でもあり、
それと同時にこの上ない生きがいとなっていた。










あああああああああああ、ご無沙汰してました(苦笑)

リットンのイベントが終わってホッとしたのか
ずっとmissingのことを忘れておりましたー(;´▽`A``
それに『隣の〜』を優先させていましたし……ねぇ。

というわけで、久しぶりのmissingですが、今回は分岐なしの
まったりな感じの話でした。

また、依頼先に行くと色々あると思います(……ホントかなぁ^^;)


なかなか先に進まないですが、
どうぞこれからもmissingをよろしくお願いいたしますm(_ _)m

読んでくださった皆様、ありがとうございました!


吉永裕 (2008.4.14)


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