第2章 第13節
先程話したこの島で起こっている出来事を、目覚めたにレディネスはもう一度話す。
するとは、ガタガタと震え始めた。
「それじゃあやっぱりあれは夢じゃなくて、本当に私が殺人を――」
そんな彼女の言葉でカイトたちも一瞬、表情を固めるが、レディネスは手を振った。
「あー違う。違うから安心して」
そう言った後、説明しようとして言葉につまり、彼はポリポリと頬を指で掻く。
「んーっと……違うといっても、結果的にがショックを受けるのは分かってるんだけどなぁ」
「それでもいいです。話してくださいっ!」
「了解」
ふぅとひとつため息をつき、彼は片膝を立ててるとその上に腕を置いた。
「あの日、捜索隊を壊滅させたのは、エウリードの部下というか工作部隊というか……まぁ、そいつらの中のトップ率いる部隊。
で、そのトップっていうのがの細胞から作った人間、というかほぼ人間の形をした入れ物って感じだけど、それに機械を埋め込んだ奴なんだ」
「じゃあ、私の複製ってことですか……」
「そう。多分、細胞が同じなのとお前の魔力が高いのもあって微妙に感覚を共有するんだろう。
……オレが施設でを見つけた時には既に細胞を採取されてたみたいなんだよね。
まさか複製なんて作るとは思ってなくてさ。もう魔硝石で頭がぶっ飛んだ奴には倫理協定なんてどうでもいいんだな。
さすがにそんなことやってるとは気づかなくて、知ったのはあの夜なんだけど」
「でも私はそのエウリードという人には会ったことも……」
「――まぁ、気になることは沢山あるだろうけど、いきなり色んなことを頭に入れるのは良くないね。
こういうのは一つ一つ頭の中で整理してから、新しい知識を入れる方が要領良くて済む」
「……とりあえず、今回の依頼は終了したってことで帰らない?」
「そうだな。早く戻った方がいいだろう」
は未だに何か胸に引っかかっている複雑な表情をしていたが、周りが立ち上がったので一旦思考を中断し彼らの後に続いた。
するとレディネスはポンと姿を消し、キャスカの姿へ変身する。
「きゃ……キャスカ!? えっ?」
この島の事情は聞いたもののレディネスの正体について全く聞いておらず、
勝手に皆の知り合いの傭兵だと思い込んでいたは、彼の姿に声を上げて驚いた。
「あー、そっか言ってなかったな」
「元の姿でいると少し支障があるので、今までキャスカに変身していたらしい」
「は、はぁ……全然気づきませんでした」
そ う言うと、キャスカはの肩に乗り、いつもと同じように頬をすりすりと擦り付ける。
それを見てカイトはあっ、と声を上げた。
「お前、キャスカの姿をいいことににベッタリしやがって……それが狙いなんじゃねーのかっ!」
「そういえば、何気に頬や指を舐めたりしていたね」
「……貴様」
「うなん?」
男たちから非難の視線を浴びたレディネスことキャスカは、わざと可愛らしく首を傾げてみせると再びに擦り寄った。
「え?あの……私、どうすれば?」
先程の青年が変身しているのは分かっていても、キャスカの姿が可愛らしいのでは戸惑っている。
「とりあえず、お前はこれからに近づくなっ!」
「うなふー!!!」
カイトに首の後ろを掴まれたキャスカは腕をバタバタさせて牙を剥き、そんなキャスカを見据えながら男たちはうんうんと頷いて見せる。
その彼らのやり取りを見て、胸にズンと重い鉛を打たれたような気持ちだったも心の底から微笑んだ。
そう、自分は仲間たちと一緒にいる楽しい時間が好きなのだ――は自分の大切なもの、守りたいものを再確認する。
まだ出会って半年ほどしか経っていないのに、家族以上に大切で愛しいと思える仲間たちの存在に心は癒され、励まされる。
――だったら、私の本当の家族は……?
すっと過ぎる両親の顔が霞んでよく思い出せない。今までもそうだっただろうか?
両親のことだけでなく、キャスカと出会う前のことを思い返そうとしても、どこか曖昧で現実味がない。
先程のエウリードという人のことだって、全然――
「うな」
「あ……うん、分かってる。帰ろうね」
こちらの思考を全て見通しているようなタイミングで鳴いたキャスカに頷くと、は笑って施設のドアを開けた。
早め(?)に更新できてよかったー(=´∇`=) 8月はいっそう気合を入れて励むつもりです!
それでも今回も会話が多いなぁ。文章自体も短いし…うぅん、もっと精進せねば。
さて、ヒロインさんの疑惑も晴れてよかったよかった…というわけにもいきませんかね^^;
まだ微妙に全てが分かったわけじゃありませんし。
でも、本気でもうすぐ第2章終わりそうです!!!!
秋には第3章に入れたらいいな……。
第3章からは…よりRPGらしくなります。
そうです、アークバーンと同じ冒険の旅です(笑)
アークバーンはかなりあっさりしておりましたが(恋愛パート重視なのでねぇ^^;)
missingはもう少し詳しく書こうと思っています。
というわけでなかなか先には進みませんが^^; 読んでくださったお客様、ありがとうございました!!
吉永裕 (2008.8.10)
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