第7節



 次の日、カイトたちは依頼を探しにいつものようにギルドへやって来た。
すると奥の方で酒を飲んでいる女性のエルフと目が合う。

「アステムじゃない」

 そう言うと彼女はツカツカとアステムに向かって来ると、腕を組みカイトたちを眺める。

「……人間と組んで仕事して楽しい?人間なんてすぐに疲れるし、効率悪いし、感情的じゃない。
 私だったら絶対一緒に仕事しないけど。 それ以前に私はまだ人間を許したわけじゃないの。汚い人間の存在なんて!」

 冷たくそのエルフは言い放つ。

「そ、そんな言い方
――

 が彼女に言い返そうとすると、カイトがすっとその腕を掴んだ。

「……ふん。いつまでも時代錯誤なヤツだな。
 いい加減、エルフは特別だという意識を捨てろ。そんなちっぽけなことにこだわるな」
「な、何よ!偉そうに!!」

 アステムの冷静な態度とは対照的に、彼女は酷く腹を立てた。

「人間もエルフも同じ生物だ。 流れる時間が遅いか早いかの違いしかない。
 ……ただ言えるのは、俺はお前より今ここにいる人間たちの方を信頼しているということだ」
「ふんっ。勝手にしなさいよ!」

 そう言い放つと彼女はその場から立ち去った。

「アステムさん」
「……悪かったな。あれは昔からプライドが変に高い奴なんだ」
「いえ。気にしてませんから」

 そう言うとは穏やかに微笑む。
エルフの彼女から見た人間はああいう風に見えているのかと少し悲しく思ったが、アステムの言葉の方が嬉しかった。
そんなの顔を見たアステムもホッとしたのか、穏やかな表情になる。

「じゃあ仕事探そうぜ」

 そう言うとカイトはアステムとの背中をポンと叩いて、カウンターに向かう。

「今回もの活躍が見れるといいのだがね」

 リットンはそう言うとをカウンターまでエスコートした。



「よお、カイト。新しい仕事が来てるぜ」

 カウンターに行くとパッシが新しい依頼書を何枚か用意してくれていた。

「どれどれ……」

 カイトは依頼書を見比べる。

「じゃあコレにするかな。昨日は張り切りすぎたし」

 そう言って1枚選び取った。

「依頼人:サンティアカ住人・レイン
 依頼内容:リオに済むワイプに荷物を届ける。
 報酬:1500R
 ……って、簡単過ぎる仕事選んでんじゃねーよ」

 そうは言いながらもパッシはペンと判子を用意する。

「ま、たまにはな」

 ペンを受け取り、カイトは依頼書にサインしていく。

「私はこういう仕事は好きだね。届け物を相手に渡す時に笑顔を向けられて嬉しいじゃないか」

 リットンもサインする。

「……しかし届け物にしては報酬が高い気もするがな」

 アステムはパッシを見ながらもサインする。

「リオ方面は魔物が増えたって噂だからな。それで報酬が高くなったんだよ。
 まぁ、リオに限らずこの大陸全土で増える一方らしいけどな。最近は魔物が街に入ってきたりしてるトコもあるらしいし。
 ほら、S級ランクの依頼には街の護衛とかあるだろ? 結構深刻な問題だぜ。傭兵は減ってるっていうのにな」
「……そんなに、魔物が」

 はキャスカを見ながら依頼書にサインをした。
キャスカはそんな彼女に頬ずりする。

「……まぁ、街を襲うような下級の獣型魔物は比較的知能が低いっていうのもあって
 和解することもできないからやっつけるしかないけど、上級魔物や人型魔物は無闇に人間に手は出さないみたいだし、
 傭兵団の領土が本格的に侵されることはない筈だぜ」
「そうなんですか」
「ま、この辺の魔物もキャスカくらい頭良くて大人しかったらいいんだけどな。 キャスカって上級魔物なのかもしれねーな」

 そう言うとパッシはとキャスカに笑いかける。
はそんなパッシに励まされ、うんと頷いた。

「じゃ、気をつけて行って来いよ。 これが頼まれた届け物だ」
「おう、了解」

 カイトは金庫から差し出された荷物を受け取る。

「じゃ、行くか」
「はい!」

 そうしてカイトたちは新しい任務をするべく、サンティアカを発った。










約3ヶ月ぶりの更新ですみません〜!
しかも今回も分岐なしで会話が無駄に多い!!

さっさと任務に向かえよ〜って思われるでしょうね、皆さん。
私もそう思います……。

頭の中ではクライマックス〜エンディングくらいまで
考えているのですが、文字にするのが……難しくて……。


でも一生懸命これからもちまちまですが、更新していきますので
どうぞこれかも宜しくお願いします……っ!

それでは、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!!


吉永裕 (2006.5.9)



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