「えぇっと、あれは入ってるでしょ。これはもうそろそろ補充して……」
「うにゃ」
「あ、そうそう。これも補充しなきゃ。ありがと、キャスカ」
は荷物の中を整理していた。
今まで一人旅をして来たので、ランプや地図、食器など生活用品は常に持ち歩いていたが、
パーティを組むとなったら不要なものも出てくるだろうと思い、整理整頓することにしたのだった。
すると、「コンコンコン」と部屋のドアをノックする音が鳴る。
「はーい」
がドアを開けると、そこにはお茶を持ったリットンが立っていた。
「やぁ、。疲れていると思って、リラックス効果のあるお茶を持ってきたよ」
「ありがとうございます!どうぞ、入ってくださ――」
そう言って彼女は自分の部屋を見て固まる。
そこには鞄から取り出した救急セットや着替えなどが散乱していた。
「おや、荷物を整理していたんだね。お邪魔だったかな」
「いえいえ!汚いですけど、どうぞ。急いで片付けますから!!」
はもの凄いスピードで床に散らばった物を片付け始めた。
リットンは穏やかに笑みを浮かべている。
「余計に疲れさせてすまないね」
「いえいえ」
「さ、どうぞ。飲みたまえ」
「ありがとうございます」
「キャスカにもあげよう。薄めてあるが、きっと君にも効果があるはずだよ」
「うな」
そうして2人と1匹はゆったりとお茶を飲む。
「あぁ……何だか落ち着きますね」
「だろう。私の実家の庭に咲いている花から作ったお茶なのだけれど、とても気に入っていてね。
是非、君達にも飲んでもらいたかったのだよ」
「ありがとうございます、リットンさん」
お茶を飲んで頬が薄ピンクになったが可愛く微笑む。
そんな彼女にリットンも優しく微笑んだ。
「リットンさんって貴族出身ですか? 何だかとっても気品溢れる雰囲気を醸し出しているんですけど」
「まぁね。でも地方の没落貴族さ。大したことはないんだ」
「それでも貴族は貴族ですよ!でも、それならどうして傭兵に? 家を継ぐとか、もっと違う道があったんじゃ……」
そう言った所では言葉を止めた。
目の前のリットンが寂しそうに微笑んでいたからだ。
「私に貴族は似合わなかったのさ。だから家から逃げ出した」
「え……」
「でも弟がいろいろ心配してくれてね。だから今でもお茶を届けてくれるのだよ」
「そうなんですか」
本当に嬉しそうにリットンが笑うのでも微笑んだ。
「見ての通り、私は非力だし、攻撃力は全然ないに等しいが、魔法だったら少しは役に立てるからね。
もし魔法のことで力を貸して欲しい時は遠慮なく言ってくれたまえ」
「はい!お願いします!!」
は元気にお辞儀をする。
そうしてリットンはとキャスカにウインクして部屋を後にした。
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