ミカサ――
ナナミとミュウの幼馴染でミュウの義弟。ミュウの一歳年下でと同じ年。
ハードウェア設計技術者であり、ミュウやの我儘な要望でも応えようとしてくれる優しくて責任感の強い人物。
ただ余程耐えがたいことだったのか、何故かナナミのことを忘れてしまっている。
ミカサは天才である。
本人は自覚していないが冷静に物事の本質を見極め、常に目標の為に力を尽くして自分に妥協をしない努力の天才である。
両親がいなくなったミュウはミカサが3歳の時に彼の家に引き取られた。
それ以来、ミュウを兄として慕っているが彼の冷たい感情にも気づいているし、
自分が傍にいればその感情は顔を出さないことを知っていて彼の傍にいることを望んでいる。
「…、ぼーっとしていますが疲れが溜まっているんじゃないですか?」
の顔を見るなりミカサは無表情で問いかけた。
ミカサはミュウとは正反対のポーカーフェイスの持ち主で、性格も見た目と違わず沈着冷静だ。
誰に対しても丁寧な物言いだが、やミュウに対してはわざと棘のある表現をしたりもする。
「私なら大丈夫です。仮眠もとりましたし」
ミュウといいミカサといい、顔を見るなり疲れているのかと聞かれるのは複雑な心境である。
自分は見るからにへばった顔をしているのだろうかとは首を捻ったが、
休憩室や浴室、洗濯室なども完備していることを良いことに、ここ数ヶ月はずっと職場で寝泊まりしていることを思い出し、
ミュウの願いの為だけでなく自身の健康の為にも今年中にはALを完成させなければと思うのだった。
「私にはミカサの方が疲れているように見えますよ。少し息抜きしては?」
肩甲骨を動かすように腕を回したり、首を動かしたりしているミカサには話しかけるが、
恐らくやミュウにしか分からないであろう少しムッとした表情で彼は振り向く。
「誰かさんが無茶苦茶な注文をするからですよ」
その言葉にはピンとくる。
そしてすまなそうな顔をした。
「そ、それは…その、すまないと思っていますよ。
ですが、ミュウのしたいことをやろうとすると今よりも処理能力が高いものでないと…。
メモリも足りませんし……」
「……努力しますよ」
彼女を横目で見るとミカサは静かに溜息を吐いた。
しかし彼の溜息もには既に聞き慣れたものである。
「ミカサには無理を言ってばかりで申し訳ないと思っています。
でも、結局貴方は無理なことでも叶えてくれますよね。そういうところ、尊敬します」
にっこりと無邪気に微笑むを見て再び溜息を吐くミカサ。
こんな風に言われるから無茶なことでも受け入れてしまうんだ、と言わんばかりの表情で頭を抱えた。
「……それで、今日は何のお願いに来たんですか?」
「今日は依頼ではないですよ。
ミュウから貴方が私を捜していたと聞きまして。何の用ですか?」
「そうですか、助かります。
先日の案件の機器なんですが制御プログラムの動作が安定しないので見てもらいたいんです。
電力を2%抑える為に変更箇所があったので恐らくそれが原因だとは思うのですが」
「分かりました」
は並んだ2台のコンピュータの前に座ると、暫くの間、画面と格闘することになった。
ミカサがカップにインスタントのコーヒーを入れ始める。
彼の作るコーヒーはとても甘い。
コーヒーというよりもカフォオレに近い程のミルクを入れるし、砂糖もたっぷり入れるのである。
彼と同じく甘いコーヒーが好きではあるが、何杯も飲むのはさすがに身体に悪そうなので
できるだけ早く仕事を終わらせようと思うであった。
次に進む メニューに戻る