こんな時間だし、天摩迷惑かな。
まぁでも、天摩なら会いに来たことに喜んでくれる気がする。
…なんてのろけちゃったりして。
気づくとは天摩の庵の玄関の前にいた。
元気にならなければ、と思った瞬間、彼の顔が浮かんできたのだ。
自分に元気をくれる人――それが天摩、だから。
「天摩ー、いる?」
さすがにこの前のように部屋に突入してあんな事態に陥ったら困るので、は庵の玄関から天摩を呼んだ。
「あれー?ちゃんどうしたの?」
素っ頓狂な声を出しながら天摩が奥から出てきた。
「何か眠れないからちょっとお話でもと思って」
「マジ!? 嬉しーなっ、上がって!」
ほら、喜んでくれた。
天摩の反応が予想通りだったのではホッと肩をなでおろし、前を歩く彼の背中を見つめながら部屋へと向かう。
「そういえば、あのアルバムだけど――」
「あ!お茶!! お茶持ってくる!」
部屋に着くとは先日のことを思い出したので訊ねてみたが、天摩は慌しく席を立つ。
「お茶はいらないから、質問に答えて☆」
「う…」
は天摩の腕をグッと掴んで笑顔を向けた。
その笑顔に威嚇されたのか天摩は苦笑いをして再び座る。
「そんなにヤバイものが入ってるの?」
「いや、ヤバイとかそういうんじゃなくて…。 何ていうか恥ずかしいっていうか…」
珍しく天摩が頬を紅く染めて横を向く。
「恥ずかしい?」
「…うん。だからその件には触れて欲しくないなーなんて☆」
「何でそんなに恥ずかしいのに大事に持ってるの?」
「そりゃ自分で見る分には全然恥ずかしくないもん。それに俺の宝物だし」
「…初恋の人の写真でも入ってるの?」
「…う…まぁ、そんな感じかな」
天摩の初恋の相手か…。
初恋っていつの頃だろう。
相手はどんな人だったのかな。
可愛かったのかな、美人だったのかな。
優しい人だったのかな、大人っぽい人だったのかな。
頭の中でいろいろな女の子を思い浮かべては消していく。
…ちょっと嫉妬しちゃうんですけど。
「ちゃん。何か…怒ってる?」
「別に!」
思っていたよりも大きな声で返事をしてしまい、自身も驚くが天摩も目を丸くした。
「もしかしてヤキモチ焼いてる?」
「全然っ!」
図星を突かれた恥ずかしさで、は天摩に背中を向ける。
「…ほんっとに可愛いなぁ、ちゃんは☆」
ギュッと後ろから抱き締めて天摩はの頬にキスをした。
「や――っきゃっ!?」
彼の手を振り払い、は天摩から離れようとするが、腰を掴まれて再び腕の中に収められてしまう。
「そんなにアルバムが気になる?」
「…気になるけど…それよりも天摩、くすぐったぃ…」
耳元で囁く天摩の吐息が耳にかかってゾクゾクする。
そんなの反応を面白がってか、天摩は更に耳に息を吹きつける。
「止めてったら!」
「ん〜止められなくちゃっちゃった」
ペロッと天摩がの耳を舐める。
「…っぁん…」
「あー…。その声ヤバイ…」
天摩はそう呟くと、の顔を自分の方に向けてキスをした。
「…っふ…ん……っぁ…」
唇を食べられてしまうようなキス。
は戸惑い、息を求めて口を開いて声を漏らす。
それでも天摩は唇を放そうとせず、キスをしながら彼女の服の中に手を入れた。
「っやぁ…っだめ!」
腹から次第に上がっていく天摩の手の感触には身体を硬直させるが、
彼の手は止まらずに彼女の胸へと伸ばされる。
「っ…ぁ…やぁ…んっ…」
の胸の形をなぞるように天摩の手が動いていく。
「…もっと声聞かせて?」
そう言うと天摩はブラジャーのホックをすっと外した。
「あ…っ…っやめっ…ぁ…っ!」
直に感じる天摩の手の感触にの感度は更に上がってしまう。
優しく撫でられるくらいの刺激でも、初めて他人に身体を触られる彼女にはその身を震わせる程の刺激になる。
「ちゃん…ダメだよ、もう……あぁ、好きだよ…」
熱っぽい声で天摩が名を呼ぶ。
そんな彼が愛しく思えた。
彼が自分を欲してくれるのは、そのくらい愛しく思ってくれているからだと実感できた。
自分も突然のことで戸惑っているだけで、嫌というわけではない。
相手が天摩なら…怖くない、そう思いは力を抜いて彼に身体を預けた。
「っ…ぁ…っぃた…」
たちはベッドで折り重なっていた。
「う…。やっぱり痛いよね…」
「だい…じょぶ…」
修行で痛みには慣れている筈のが涙を滲ませる姿が痛々しく思えて天摩は挿入を止める。
「今日は…止めとく?」
「…ううん、駄目。またこんな痛い思いするなんてヤダ…。 それに天摩が…」
そんなに痛いのかと尚更天摩はを痛々しく見つめる。
完全に破瓜するまでにはもう少し深く入れなければならない。
天摩はどうしようか考える。
「じゃあ俺が寝て、ちゃんの身体を支えるよ」
「え…?」
そう言うと天摩はから離れて位置を交替し、ベッドに仰向けになる。
「ハイ、乗って?」
「ここに…?」
「うん。自分でする方が心の準備ができていいんじゃないかと思って」
「うん、まぁ…そうだけど…」
恥ずかしいなぁ、と思いながらも天摩なりの思いやりだと思っては腹を決めた。
「じゃあ…」
そう言って天摩の上にまたがる。
「っ…」
「大丈夫?」
少しの身体が沈み、再び苦痛の表情を浮かべる。
「へーき。…まだ…だいじょぶ…」
そうしては息を整え、更に身体を沈めていった。
「…っあぁ!…いっ…たぁ…ぃ」
「ちゃん…もうちょっとだから」
「ん…っ」
目に涙を浮かべては頷くと完全に身体を沈めた。
「…っ…っくぅ…」
「ちゃん…」
天摩はの顔に手を伸ばす。
つらそうな表情をしている彼女は痛々しいが愛しくてたまらない。
「天摩…ごめ…んなさ…」
突如、か細い声では天摩に謝った。
「どうして謝るの?」
「だって…天摩、私を気遣ってばかりで…」
こんな状況で自分の心配をするが可愛くて、
天摩はキスをしようとできるだけ結合部を動かさないようにゆっくりと上半身を起こした。
「好きな子を思いやるのは当たり前だよ。それに俺、気持ちいいし」
「…嘘でしょ」
「ホントだって。好きな子と心も身体も結ばれるのってすっごい最高の気分だよ」
そう言って天摩はの目に溢れる涙を拭う。
「ちょっとずつ痛みが収まったら2人で気持ち良くなろうね☆」
「…ん」
天摩はにそっとキスをする。
「「…愛してる」」
同時にそう呟くと2人はギュッと互いを抱き締め合った。
「天摩…?」
「…」
「…寝ちゃった……みたい…だね」
は起き上がって天摩の顔を覗き込む。
その顔はとても幼く見えた。
先程まであんなに…男らしかったのに…可愛い奴――そんなことを思いながらは天摩の髪を梳く。
「ね、天摩」
は静かに寝ている彼の名を呼ぶ。
「私、我侭だし強いし、その割には泣き虫だったりして扱いにくいだろうけどさ。
でも…いい奥さんになるように努力するから、ずっと傍にいてもいい…?」
「――勿論だよ」
「わっ!?」
急に天摩が目を開け、は驚く。
「…起きてたの?」
「今起きたの☆」
そう言って天摩も起き上がった。
「っていうか人の寝顔に向かってプロポーズなんて…」
「…ただの独り言だもん」
普段は恥ずかしくて言えないことを言おうと思っていたは顔を赤くしてプイッと横を向く。
「っていうかそういうことは俺に言わせてよ」
「…言ってくれるんだ」
がそう言うと天摩は笑った。
「ちゃん」
そうして天摩は穏やかに名を呼ぶ。
そして柔らかくの手を握り、背筋を伸ばした。
「君が我侭言ったら俺は君をもっと可愛いと思うだろうし、今は君が強くてもいずれ君より強くなって君を守りたいと思う。
もし君が泣いた時は、君が泣き止むまで俺が抱き締めてあげる」
「…」
「いい奥さんでも悪い奥さんでも、俺は構わないよ。
俺が欲しいのは、真っ直ぐで優しくて前向きで強くて、でも凄く脆いところを持ってるそのままの君であって、
傍にいてくれるだけで救われてるし、幸せなんだから」
「――ちゃん、俺のお嫁さんになってください」
胸がギュウッと締め付けられる感じがして、の目からは涙が零れた。
「な…何なのよ。
…いつもおちゃらけてるから、冗談めかして言うかと思ったのに…そんな改まっちゃって…」
の口からは強がった言葉しか出ない。
「…だって本気なんだもん。
――もしかして真面目すぎて、ちゃん、引いた?」
恐る恐る天摩はの顔を覗き込んだ。
「――っ…」
何も言えず、は彼の首に抱きつく。
そんな彼女に天摩はふっと微笑んで抱き返した。
「珍しく恰好良かったでしょ?」
「…うん」
そうして天摩はの涙を拭うと、そっと彼女の額にキスを落とし、愛してるよと囁いた。
再びアルバムネタですみません。
しかも結局アルバムに何が入っているのか言ってないし。
まぁ、勘の鋭い方やはお気づきと思いますので、スルーしちゃいます。
さて、天摩は意外にヘタレなイメージです。
基本的に好きな子至上主義なので必要以上に顔色とか気にしちゃう、みたいな。
それにしても、ついに一線を越えてしまいましたので、
次回からどういう展開にしようかなぁ…と考え中です。
それでは、皆様、
このような恥ずかしい2人に会いにきてくださってありがとうございました!!
吉永裕 (2006.2.8)
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*2008.6.5 追記。
ゲーム版で追加するはずだった内容を追加しました。
おかげで天摩だけ話がながーい^^;