「――貴方の仲間にして頂戴」
はじっとサルサラの目を見つめてはっきりと言う。
「…馬鹿な…ことを」
サルサラはフルフルと首を横に振りながら俯いた。
「、君は何を考えてるの。 ――全世界を敵にする気?」
「…それでもいいわ」
の心は決まっていた。
何もかも失ってもいい。
ただ…ただサルサラの傍にいたい。
「…くそ……君の目が…ボクを狂わせる」
サルサラはの瞳を食い入るように見つめた。
「…でも…君を仲間にすれば…」
最初は自分の思い通りに動ける筈だ。
しかし霊気は段々と薄まり、邪気で次第にの感覚は鈍り、精神が邪気で侵されていく。
そして最終的には意思も感情も持たない――ただの人形になってしまう。
100%従う最強の駒は手に入るが、だが――
…ボクが欲しいのはそんなじゃない。
「…もう、いいの。 私、この世界に何の希望もない。自分がどうなっても構わない。
貴方の好きなようにして。それで貴方が幸せになれるのなら」
「…そう。君がそこまで言うなら――喜んで迎えよう」
サルサラは静かに笑みを浮かべた。
「――ボクの為に生き、働いてもらうよ。」
そう呟くと彼はを抱き締める。
も静かにサルサラの背中に手を回した。
その顔には穏やかな微笑を浮かべて。
――しかし、サルサラが予想していた通り、次第に彼女の顔から笑顔が奪われていった。
力強い生命力が抜け、恍惚とした表情で常に本体が封印されているクリスタルの傍らに座っているは
嘗ての自分の望み通り、身も心もサルサラに支配されていた。
「、今日はボクらにとって革命の起こる日だよ」
「…はい、サルサラ様」
奥の方から声がした。
サルサラの分身が階段に座って、本体とそれに寄り添うを見つめる。
どこか遠くを見つめながらそっとクリスタルを撫でている彼女は自分の意思など既になく、ただサルサラへの想いで動いていた。
「、おいで」
「はい、サルサラ様」
そう言うとはゆっくりと分身の下へ歩み寄る。
「復活の準備は全て調った。後はボクが君に邪気を完全に注ぎ込むだけ」
「はい、サルサラ様」
「邪気が君の破邪の力を飲み込んだ時、君がクリスタルに触れれば互いの邪気が共鳴して封印が決壊する」
「はい、サルサラ様――」
そう言うとの腕が引っ張られた。
そのまま彼の膝の上に彼女は折り重なる。
「――最近、ボクは君のそんな虚ろな目も愛しいと思うようになったよ。
ボクのことしか考えてないその目、溜まらなくそそる。
君がボクだけの為にいる…それがこんなに気持ちを高揚させるなんてね。 初めてだよ、こんな気持ちは」
サルサラは彼女の腰を撫でるように触れると更に自分の身体に引き寄せる。
はゆっくりと彼の手を取り、甲に口づけした。
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