「私……サルサラが好き」
は彼の目を見つめてはっきりと言った。
「…な、何を馬鹿なことを…!」
サルサラは一歩前に出る。
「、君は何を言っているかわかってるの!? 邪神相手に好きだなんて!
君はどうかしてる。馬鹿げてるよ!」
「そんなことない。馬鹿げてなんてないわ!」
も足を踏み出した。
「私は本気で貴方を愛してるもの!
――だから……だから来たの」
何もかも失ってもいいと思った。
ただ、サルサラの傍にいれたらそれでいいと。
私のせいでどんなに多くの人の命が奪われようとも、それでも構わない。
愛する人、一人すら救えない自分が他の人たちを救える筈がないもの。
の決意は固まっていた。
「…君が…そんなことを言うなんて…」
サルサラは首を振りながら壁に手をつく。
「…私、この世界に何の希望もない。自分がどうなっても構わない。
貴方の好きなようにして。それで貴方が幸せになれるのなら」
「――!」
がサルサラの背中に触れると、彼は激しくその手を振り払って怒りの声を上げた。
「――君には本当に……呆れたよ。 感情的で利用しやすいと思ってたけど、君は今までの巫女以下だね。
感情や思考のない人形よりも、感情的過ぎる君はずっと愚かだ…」
サルサラは言葉を濁らせながら俯く。
「…ただ貴方の傍にいたい、そう思ったの。 だから貴方はただ私を利用すればいい」
「――ふ…ふふっ!……あはははっ!!」
いきなり彼は壁を殴りながら笑い始めた。
は黙ってそれを見つめる。
「そこまで言うなら……遠慮なく吸収させてもらうよ、」
そう呟くとサルサラはの頬に手を添えた。
そして彼の身体から邪気が溢れ出す。
は頷き、静かに目を閉じた。
黒くて濃い邪気が身体を取り巻いていく。
霊力の落ちた彼女の身体はあっという間に邪気の侵入を許し、暫くしては意識を手放した。
「――、ボクは君に……」
が倒れるのを見て呟くと、分身はすぅっと消えていった。
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