「…貴方の傍にいたい」

口からそんな言葉が零れ出る。

「…吸収…されるっていうの?
 ――馬鹿なことを…」

サルサラは目を見開いた。

、君は本当にそれでいいの? 君の身体はなくなるんだよ」
「…それでもいいわ」

の心は決まっていた。

ただサルサラの傍にいれたら、それでいい。

「…もうボクが何を言っても君は聞かないみたいだね」

サルサラは彼女の瞳を食い入るように見つめた。

「ボクは遠慮なく君を取り込むよ、
「いいわよ。私、もうこの世界がどうなろうが興味ないわ。 自分もどうなっても構わない。
 貴方の好きなようにして。――それで貴方の心が満たされるなら」
「…君がそこまで言うなら――喜んで」

サルサラは静かに笑みを浮かべた。

「――ボクの為にその命と力、全て貰うよ。

そう言うと彼の身体から邪気が溢れ出す。
は静かに目を閉じた。
黒くて濃い邪気がの身体の周りを取り巻いていく。
霊力の落ちた彼女の身体はあっという間に邪気の侵入を許した。
身体の痛みと共に、精神も汚染されていくようで次第に意識が朦朧としくる。
だがその身を焼かれながら、は邪気の炎の向こうにいるサルサラの姿を見止めるとふっと笑い、
ゆっくりと階段の方へ足を進めた。
しかし足のもつれで階段の下まで転がり落ちる。
それでも彼女は何かに取り付かれたかのように、地下室の奥に見えるサルサラの本体が封印されたクリスタルに向かって歩いていく。

――ねぇ、サルサラ。 私が永遠に傍にいる。
だからね、もう淋しくないよ…?

は今にも飛んでしまいそうな意識を何とか保ちつつ、そっとクリスタルに触れた。

「…サルサラ……ずっと一緒だよ…」

そしてクリスタルを抱き締めるように手を広げる。

「あぁ…。これで永遠に君は――」


――ボクのものだ。


業火に包まれた彼女の背後でそう呟くと分身は消えた。







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