最終話 Le lieu de destin





 その後、から2時間程遅れて神殿にやって来たウメ婆たちが見たものは
クリスタルの中でサルサラを胸に包むように抱いて眠る彼女の姿だった。
ウメ婆曰く、はサルサラに吸収されることなく、その愛で彼の心を永遠に封じたらしい。

「…恐らくサルサラの根本的な欲求…愛されたいという気持ちがによって満たされたのじゃろう。
 それで奴はクリスタルの中に留まることを選んだのじゃ。――永遠にと一緒にいられる封印の中にな」

その言葉を聞き、他の者たちは表情を曇らせる。

「…結局、の犠牲の下にこの世界は救われたんだ」
「…」

そうしてその後もサルサラが復活することはなく、ジッカラートに不変の平和が訪れたのである。



 「…ねぇ、

クリスタルの中にいる2人だけに通じる意識の世界でサルサラはに呼びかけた。
互いの意識の中では2人は自由だった。
身体の枠さえ感じさせない程の溶け合うような一体感を感じる。

「結局ボクは君に負けたんだ。巫女としての君じゃなく、女としての君にね」
「…私には勝ち負けなんて関係ないよ」

そう言って2人は意識の海の中で抱き合う。

「――永遠に放さない、
「…サルサラ――」



 その後、2人が眠る神殿は壊され、地下室への階段も埋められ、
とサルサラの眠るクリスタルは完全に人間たちの手に届かぬ場所となった。

「夢の世界で、永遠に愛し合うあの子らは、もしかしたら誰よりも幸せなのかもしれぬな…」

ウメ婆は静かに涙を流しながら、地下室のあった場所の上に新しく作った墓に白い花を備えた。
















-END-

やっと完結です!
長い間、読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!
サルサラや作品についてはあとがきでかいておりますので
興味のある方は是非あとがきにいらしてくださいね^^


吉永裕 (2006.5.17)




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