第11話 決意
…ついにこの日が来た…。
は部屋でウメ婆に宛てて手紙を書いていた。
『この世界を救えなくてごめんなさい。
私は1人でサルサラの所へ行きます。
どうしても救いたい人がいるの。
皆はできるだけ遠くに逃げて。』
コトリと鉛筆を置き、静かに立ち上がる。
「…ごめん、皆」
そう呟くと、はサルサラの封印地にある神殿へと向かった。
の胸は静かに鼓動を増していた。
目の前には古びた神殿が建っている。
その周囲は黒い邪気で覆われ、視界が遮られる程だ。
冷たくて不気味な風が神殿の中から吹いて髪を揺らした。
はグッと腹に力を入れて入り口を見据える。
「…この中に、サルサラとイロハちゃんがいる…。
――そしてアゲハくんも」
この普通の霊力の状態でどこまで進めるのだろう。
の胸に不安が過ぎるがブンブンと首を振った。
「…頼むから…オレの為にも生きてくれ」
アゲハの言葉が心に浮かんでくる。
…そうよ、私は…。
アゲハを何とかして救いたい、ただそれだけの為にここに来たのだ。
自分の命なんて惜しくはない。
できることなら伊絽波とアゲハを救い出したいけれど…。
でも、もう決めたことだ。
命がどうなろうとアゲハとサルサラに会いに行く。
無駄かもしれない。
鼻で笑われるかもしれない。
しかし、アゲハが壊されるの知った以上は放っておけない。
この命に代えても、サルサラにはアゲハを救ってもらう。
は深呼吸するとキッと前を見据えて神殿へと足を進めた。
すると神殿の周りにサルサラの作り出した魔物や怨霊が溢れ出してくる。
「…こんな所で…止まってられないのよ」
は入り口目掛けて走り出した。
身体に纏わりつく魔物たちを霊気を込めた手刀で振り払い、前へ前へと進んでいく。
「…っどきなさいっ!!」
回し蹴りで前を塞いでいた魔物たちが姿を消した。
霊力は増えていない筈なのに、気力と勢いで彼女のその力は増しているようだった。
「…サルサラに…会うんだから。アゲハくんに会うんだから…っ!!」
入り口までやって来たは静かに息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
「――アゲハくん、何としても助けるからね」
そう言ってキッと前を見据えると、力強く神殿の中へ足を踏み入れた。
今回はとても短く、絵もなくてすみません。
キャラとの絡みもないし…。
もうちょっと突っ込んだトコまで書いたら2話同時に更新しようかな、と思ったのですが
今週末から来週あたりが忙しくなりそうなので
今回は短いですがアップしました。
さて、アゲハの終わりも迷ってるんですよね…。
ど〜するのがいいんだろうか。
無理矢理でベタベタで見え見えでもいいんだろうか…。
うぅ、困ったよ〜。
次回は久しぶりに伊絽波がでてくる…かも。
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!!
次回をどうぞお楽しみに…☆
吉永裕 (2006.2.22)
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