Papillon du machaon −3 生きて−
「アゲハ、をまくんだ。今、イロハと彼女を接触させるわけにはいかない」
「わかりました」
あの日、ついに巫女と対峙する時が来て、それはあまりにもあっけなく、そして完璧に、巫女をまくことができた。
何も考えず、任務を遂行したまでのことだ。
しくじれば、また海の底の砂に――あの無音の世界に戻される。
それだけは嫌だった。
だから自分は主の命令に従う。
勿論、海の底にいた自分をこの世界に形作ってくれたことへの恩もある。
それでも、この光輝く世界からあの海底に戻ることだけは避けたかった。
何故こんなにもこの世界に思い入れがあるのかは、自分でも良く分からない。
唯、この世界にいることで自分の空っぽな身体が、少しずつ邪気とは違う何かで埋められていくような気がしたから。
更にその感覚を心地良いと感じるようになってしまったから。
「…私の命をあげれたらいいのに…っ…」
そう言って泣いてくれた巫女。
「私では君を救うことはできないの?」
苦しそうな顔で言ってくれた巫女。
――その巫女をオレは殺そうとしているのに。
あいつはオレの為に泣き、オレの為に笑う。
…あの時。
巫女がオレに話しかけなければ。
涙なんか流したりしなければ。
オレはずっと遠くから巫女を監視する乾いた日々を送っていた筈なのに。
今は…こんなにも――――
「――。ありがとな」
自然とこの言葉が出た。
伊絽波もサルサラも使わなかった言葉。
と関わることで知った言葉。
、あんたのお陰でオレは――温かい光を知った。
だから……
「…頼むから…オレの為にも生きてくれ」
もうこの身が滅んでも良い。
が生きて笑っててくれたら、それで。
たとえ、身体という器が壊れても――
この身体に宿ったあんたの想いとオレの想いは
永遠に 消えたりなんてしないから。
a suivre la 11ere histoire.....
…というわけで、アゲハの話おしまいです。
何故短期間にアゲハは巫女に惚れたのか、というのを考えたのがきっかけでこの話を作りました。
所々、本編の内容とリンクさせていて、でも本編の内容を完全に省略しているので^^;
時間の経過など、分かりにくくてすみません。
…でもやっぱり素晴らしい音楽がないと、けちょんけちょんですねぇ(;´▽`A``
ちなみに、タイトルの Papillon du machaon は アゲハチョウ
ラストの a suivre la 11ere histoire..... は 11話に続く でした。
(はっきり言って、文法とか間違ってたりするかもしれませんよ^^;
WEBの翻訳サイト使って単語を丸ごと変換しただけですので)
相変わらず日本ちっくな設定なのに、タイトルだけはフランス語(笑)
本編のアゲハのラストも本当はゲームにした時に変えるつもりだったんですけど(2008.6.12 にもう1つのエンディングを追加しました)
もう技量不足と時間不足でゲーム化できそうにないので…^^;
いつか小説で、もう1つのラストを書こうかな、と考えています
もう1つの選択肢、って感じで。
皆様のお好きな方をアゲハのラストにして頂けたら、と。
っていっても、まだまだ先の話でしょうが^^;
というわけで、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!
きっとアゲハも喜んでいると思います^^
吉永裕 (2007.7.5)
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背景素材提供 様 ありがとうございました!!