5月16日(月)


 ピアノの夢に進展がある。ピアノ奏者と会話をした。中学生くらいの男の子だった。儚げで綺麗だけど寂しげな目をした人。
また会いに来てもいいか聞いたら頷いてくれた。
知り合いではないし、私の頭の中で勝手に作り上げられた人なのだろうけど、これから寝るのが少し楽しみ。
今夜も続きが見れるだろうか。

昨日の夜から生理が始まって今朝は少しブルーだったのだけれど、美空の我儘発動で再び入れ替わって学校に行くことになった。
どうやら劇の練習がしてみたかったらしい。美空は私の練習に付き合ったから台詞も演技も暗記したので心配ないと言っていたけれど、
逆に上手過ぎて明日からまた私が演技してがっかりされたりしないだろうかという心配が……。

和泉くんと一緒に登校し、教室に向かう途中にトーヤくんと目が合った。すぐに呆れた顔をされる。
分かってます、好きな子のお願いは断れないのが私なんです。
その後、お昼休みにトーヤくんに呼び出されて屋上で一緒に食事をしたら、顔色が悪いと指摘された。
あと、美空の我儘に付き合う必要はないと言われる。……それはそうなのだけれど、でも、断れないんだよなぁ。

帰宅後、猛烈な眠気に襲われて気絶するように寝る。生理痛はないものの、強い眠気がくるのは少し困る。
しかし夕方、美空が買ってきてくれた貧血緩和の薬を飲んだら少し楽になった気がする。
とりあえず今日は授業中に指名されなくて良かった。何とか無難に過ごせたな。
美空はクヴォレーくんとは相変わらず相性が悪かったみたいだけれど、劇の練習は楽しめたみたいだし無事に今日が終わって本当に良かった。


―メモ―
◎帰宅後の行動:昼寝
◆ピアノの夢を見る




5月17日(火)


 ピアノの夢を見る。ピアノ奏者さんにいつも弾いている曲の題名は何かと尋ねると、まだ未完成だから名前はないとのことだった。
「今度、違う曲も弾いてくれない?」と聞いたら頷いてくれた。次に会える時が楽しみ。

学校に行くと冬樹くんに体調は大丈夫かと聞かれる。
美空の話では昨日、冬樹くんが病欠したそうなのだけれど、薬を飲んで昨日よりは元気なつもりの私だったもののいつもに比べたらやはり顔色が悪かったらしく
自分のことよりも私のことを心配してくれたらしい。本当にいい人……。
そのせいか、クヴォレーくんも昼食時にあまり愚痴を吐かなかった。
気を遣ってくれているのか、それとも昨日美空がまた何かやらかしたのか……。何だか後が怖い。

帰宅途中、トーヤくんと会った。昨日、顔色が悪かったのが気になって会いに来てくれたらしい。
何だか嬉しくなったので、公園に寄り道してそろそろ食べなきゃと思っていたクッキーを一緒に食べた。
私は美味しいと思ったのだけれど、トーヤくんはそうでもなかったみたいな顔をしたので味を聞いたら、よく分からないんだって。
最近、何を食べても味がしないと言っていた。それって病気じゃないのかなと思ったのだけれど、気にしていたら悪いから言えなかった。
何か悩み事でもあるのだろうか。彼はいつもどこか遠くを見ていて時折深いため息をついている。力になれないのがとてももどかしくて悲しい。


―メモ―
◎帰宅後の行動:昼寝
◆ピアノの夢を見る
◆“Secret memo -VI-”を入手




5月18日(水)


 またピアノ奏者さんに会えた。これまでの機械的な曲ではなく、優しく温かな気持ちにさせてくれる曲を弾いてくれた。
素敵な曲だと言ったら少し哀しげに笑っていたのは何故だろう。

学校に行ったら冬樹くんの格好をしたトーヤくんがいて驚いた。まさか彼らが入れ替わるなんて思っていなかったから。
私はすぐに分かったけれど、醸し出す雰囲気も似ている冬樹くんとトーヤくんは他の人には絶対に入れ替わっていることに気付かれないだろうなぁ。

放課後、トーヤくんと屋上で話をした。今日の入れ替わりはトーヤくんが提案したのだそう。
「兄貴が姉の方に会いたがってたから」なんて、トーヤくんがちょっとニヤッとした顔で言うものだから、
冬樹くん、美空のこと気になってるのかな?だとしたら応援すべきではなかろうか。いつもお世話になっていることだし……なんてことを考えていたら
トーヤくんがすっかり退屈しきったような顔をしていたので、持っていたМガムをあげることにした。
「冬樹くんもよくМガム食べてるよね」と言ったらちょっとムッとして「兄貴のこと、好きなの?」と聞かれた。
えーっと、これは大切なお兄さんに近づくなということなのかしら?と思ったし実際違うので「ううん、違うよ」と答えたら「ふーん、見る目ないね」だって。
もうっ、どうすれば良かったのか……。トーヤくんの考えていることがイマイチ分からない。表情があまり変わらないからかな……。
そんなことを考えていたら、トーヤくんがМガムの端を噛んだ状態で顔を近づけて「半分食べる?」なんて突然言うものだから酷く動揺してしまった。
それを見た彼はお腹を抱えて笑ってた。初めてこんなに笑うトーヤくんを見たよ。あと、こんな冗談言うなんて本当に驚いた。
私が「こんな意地悪する人だと思わなかったよ」と照れたり怒ったりしてたらまた笑ってた。
そんな風に笑う姿を見たら何だか私も笑えてきて、結局一緒に暫く笑い転げた。
前に冬樹くんにMガムの不思議な効果を聞いたことを思い出して「いつかМガムを半分こにして食べてみたい」って言ったらダメだって言われた。
さっきは自分から言ったくせにね。でも、感覚を共有するってことは考えていることや記憶が相手に伝わる可能性があるんだって。
「僕の頭の中なんて見たら気が狂うかもしれないよ」なんて言ってトーヤくんってば脅すの。
でも、確かに相手のことを何もかもわかるのは怖いし、自分のことも知られてしまうのは怖いことだなと思った。

帰宅した美空が、昨日も今日も恩田兄弟に「妹をもっと気遣え」と注意されたと落ち込んでいた。
あの美空を反省させるなんてトーヤくんたち、凄い……!
というよりも美空にそのことを言う為に冬樹くん、入れ替わったの?
トーヤくんはそれを知ってて入れ替わりを提案したのかな?二人とも、どこまでいい人なの。

身体がだるくて熱っぽいので栄養ドリンクを買って飲んだ。美空から親父クサいと言われる……。


―メモ―
◆ピアノの夢を見る
▼“移動雑貨屋”に行く

◎支出:100リーン(栄養ドリンク)
◎残高:800リーン
◎気になるアイテム:特になし








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