5月23日(月)


 今日は代休だから家でのんびり過ごしていたのだけれど、前の晩も昼寝の時も海くんの夢は見なかった。
もう夢では会えないのだろうか。明日音楽室に行ったら会えるかな。


―メモ―
特になし




5月24日(火)


 昼休み、音楽室に行くと海くんがいた。彼は先日の私の問いに答えてくれた。
彼の本当の名前は新堂海ではないんだって。新堂海は前世の名前なんだそう。自動車で事故に遭った時に前世の記憶が呼び起こされてしまったらしい。
前世の彼もピアノが好きでピアニストを目指していたと。
幸い、事故の怪我は軽傷で済んだけれど前世の記憶を思い出した彼は、前世の自分に無意識のうちに囚われていると思い至り、
これまでの人生は全て今の自分の意志ではない、つまり自分の人生は無意味なものだったのだと考えて自殺を図ったということだった。
その話を聞いて私はすんなり彼の気持ちに頷けなかった。何か違っているような気がしたから。
すると、突然音楽室の扉が開いて冬樹くんが現れた。海くんの方を振り返った時には既に彼は消えていたけれど、冬樹くんにも海くんの姿は見えたらしい。
「彼は過去に囚われているみたいだね」って冬樹くんが言っていた。冬樹くん、一目見ただけで分かるの?と思ったら、ああいう存在は大抵過去に未練があるものだからって。
海くんの未練といったらやっぱりピアノだろう。うん、もう一度彼に会わなきゃ。彼に会って私の思いを伝えないと。


―メモ―
◎帰宅後の行動:昼寝




5月25日(水)


 海くんに会う為に音楽室に行く。予想通り彼はピアノの前にいたので私は彼に思っていたことを話した。
彼の人生は無意味なものではないと。ピアノを選んだのは前世の魂の記憶に因るものかもしれないけれど、これまでずっとピアノを続けていたのは前世の海くんではなく、
今の彼がピアノを好きだから続けてこれたのではないか。そして、生まれ変わっても続けたいと思えるものに出会えたのは素敵なことだと思うと話した。
「こうやって毎日ピアノのところに来るのは、まだピアノを弾きたいからなんでしょう?前世なんて関係ない。今、貴方が弾きたいと思うなら、それが真実だよ」
そう言ったら彼は顔を覆って泣いていた。暫く彼の震える肩を見つめていたけれど、私は急に彼の作った曲が聞きたくなってお願いした。
すると、完成したら聞かせに来てくれるって。「約束だよ?」と言ったら「約束する」と言ってくれた。そして彼は最後に私の名前を聞いて消えて行った。
だけど消えていく時の彼は優しげに笑っていたから、もしかしたらもう二度と彼には会えないかもしれないな…。


―メモ―
▼“移動雑貨屋”に行く

◎支出:300リーン(雑誌)
◎残高:700リーン
◎気になるアイテム:特になし

◆“Scrapbook -VI-”を入手








次のページに進む     ▼メニューに戻る