―城内―
「う〜ん、ドアがいっぱいあってどのドアがどこに通じてるのかわからない」
そうしては腕組みをし、通路の真ん中に仁王立ちする。
(…ちょっと覗いちゃおうかな)
そんな考えが浮かび、目の前にあるドアを開けてみることにした。
『カチャ』
ノブを回すと鍵はかかっていなかったのでそっと開けてみる。
するとそこは誰かの部屋のようで豪華そうな本棚には本がぎっしりと詰まっていた。
「わ〜、本がいっぱい」
そうして部屋の中を歩いているともう1つ、ドアがある。
どうやら奥にもう一部屋あるらしい。
「うん、前進あるのみ!」
そう言ってはドアを開けた。
するとそこにはいかにもお城!というようなベッドがあり、そしてそこで眠っているのは(憎たらしい)エドワードだった。
「…この人、裸で寝てる…」
近づいて見てみると布団から出ているエドワードの上半身は裸だった。
(…お城の人って皆こうなのかな)
は顔を引きつらせながらも近づく。
静かに眠っているエドワードはとても端正な顔立ちで睫も長く綺麗だった。
一瞬彼に見惚れるが首を振る。
(…黙ってたらいい男なのに)
「この性格最悪の冷酷非道男」
ボソリと文句を言ってみる。
別に昨日、そこまで酷い扱いを受けてはいないが、
何故かエドワードの顔を見ると文句を言いたくなってしまうであった。
どうやら生理的に合わないというか犬猿の仲というのを直感的に感じ取ったからかもしれない。
(あ、でも2日間、私の為に徹夜してくれたんだっけ…。今日は久しぶりの睡眠なんだ)
それを思うとさっき言った事が申し訳なく思えてくる。
「…冷酷非道は謝る、ごめん。看病してくれてありがと」
「性格最悪は謝らないのか」
いきなりエドワードが目を開ける。
「嘘!? 起きてたの!?」
「当たり前だ。気配で嫌でも目が覚める」
「…すみませんでしたね!」
「…で、寝込みを襲おうとしたのか?」
エドワードは横になったまま肘をついてを横目で見る。
「んなわけないでしょ!! ちょっと他の部屋の中を覗いてみたくて中に入ったらあんたが寝てたのよ!」
彼女はベッドサイドにあった本を彼に向かって投げつけた。
「貴様…」
エドワードは起き上がり向かってくる本を避けると、今度はの手を掴み引き寄せる。
「ちょ、ちょっと何すんのよ!?」
引き寄せられたと思ったら、次の瞬間ベッドに押し倒され頭が真っ白になる。
「不法侵入と傷害未遂の罰だ」
エドワードの綺麗な顔のアップは迫力があり過ぎる。
さらに上半身が裸なものだから余計に心臓がバクバクしてしまう。
「ご、ごめんなさいって!!
反省してるから!」
思わずは足をバタバタさせて謝った。
そんな様子にエドワードは呆れた顔をする。
「…お前のような乱暴な色気のない女になど欲情するか」
(かっちーん)
「確かに色気はないかもしれませんけどね、これでも私ゃ女よ!?」
侮辱された怒りで、彼の顔を睨み上げる。
「…フン」
その顔が気に入らなかったのか、彼の加虐心に火をつけたのか、
ニヤリとエドワードは笑うと彼女の首筋に吸い付くようなキスをした。
「っ!?」
突然の感触には驚き、そして爆発的に顔だけではなく耳まで赤くなる。
「色恋沙汰も知らぬガキのくせに」
そう言い、勝ち誇ったような表情をして彼女から離れるエドワードに怒りがメラメラと込み上げてくる。
「っ最低!!」
そう言い、エドワードに枕を投げつけるとは足早に部屋から出て行った。
(あー、もう、最低最悪!!性格悪いし、エッチだし!!)
憤慨して部屋に戻ったは気持ちを落ち着けるべく2度寝する事にした。
『コンコン』
夢かうつつか、ドアをノックする音が聞こえる。
しかし気にせず寝続ける事にした。
するとコツコツと足音のような音が近づいてくる。
(あ〜、リアルな夢〜。もしかして白馬に乗った王子様が私を迎えに…)
完璧寝ぼけている。
「…起きろ」
『ガバッ!!』
夢でも聞きたくない人間の声を聞き、一瞬で目が覚めた。
「何よ、エドワード。寝込みを襲いに来たワケ?」
先程のお返しをする。
「有り得ない事を言うな。…食事の準備が整った為、呼びに来たのだ」
エドワードは厳格な宰相の顔になっている。
「宰相様がわざわざ起こしに来てくれたんだ。 どーもありがとうございます」
はベッドから出てエドワードに嫌味な礼をする。
「…別に他の者を寄こしても良かったが、お前が困ると思ったのでな」
「何で?」
(むしろ貴方が来る方が困りますから)
プイっと背を向けて部屋から出ようとするが、エドワードに腕を掴まれる。
「…気づいていないのか、鈍感め」
「何がよ!?」
プリプリしているを見てため息をつきながらも
エドワードはポケットから大きめのスカーフを取り出し、彼女の首元に巻いていく。
「…?な、何よ」
思わぬ行動には戸惑う。
「先程の跡がはっきりと残っているのだ。お前も皆に変な詮索されるのは嫌だろう」
「…」
鏡を見るとの首筋にはキスマークがはっきりと残っていた。
(エドワード流の思いやり…なのよね)
「…どうも」
「いや。…だが、こうもくっきり跡が残ると、違う場所にもつけてみたくなるな」
「!?
じょ、冗談でしょ!!」
意地悪そうに微笑みながらもセクシーな目線を向けるエドワードに、何故かドキリとしてしまっただった。
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