『コンコン』
はレジェンスの部屋のドアをノックする。
「か。どうした?」
「ちょっと寝るまで時間があるし、お話でもと思って」
「そうか。では少し風に当たるか」
「うん」
そうして2人は宿のテラスに行く事にした。
「そういえばさ、レジェンスはバーグさんやユーリさんとはどんな関係なの?」
「ユーリやバーグは昔、城に仕えていてな、よく世話をしてくれていたのだ」
「じゃあ子どもの頃のレジェンスも知ってるんだね」
「そうだな」
2人の間に穏やかな空気が流れる。
「バーグが、不治の病に侵される前はよく私とレイラに会いに来てくれたものだ」
「そうなんだ…」
(不治の病かぁ…。魔法が存在するのに、やっぱり治せないものはあるんだなぁ)
あの優しい笑顔を向けてくれた彼がそのような重い病気だったなんてと、
は思わず表情を曇らせた。
そんな彼女の様子に気づき、レジェンスは口を開く。
「は今の所、病気などはしていないな」
「そうだね、私ってジョーブだから!!」
グッと両手を握り締めて彼に笑顔を向けた。
「良い事だ」
そんな彼女を見てレジェンスはホッとした様子で微笑む。
『ドキっ』
そんな彼の微笑みに思わず見惚れた。
まさに光の王子、というようなキラキラして綺麗な笑顔。
彼を前にしたら、きっと誰もが目を奪われるに違いないと思う。
(…だ、駄目だ。この笑顔に免疫がつかない…)
「…どうした?顔が赤いが」
「え!? や、何でもないよ」
レジェンスが顔を覗き込み、の恥ずかしさはMAXになる。
「具合が悪いのではないのか?」
「全然、悪いトコないから!!」
思わず彼を物凄い勢いで突き放した。
「あ…」
「あ…。ご、ごめん!」
一瞬レジェンスの表情が曇り、は慌てて謝る。
「…レジェンスは………レジェンスはね、素敵なの」
胸元のネックレスを見ながら呟く。
「え…?」
「恰好良いし、優しいし、紳士だし…。非の打ち所がない人なのよ。だから…、私は…」
(こんなにもドキドキしてしまってるんだ)
は恥ずかしさに俯いた。
「…そんなに評価してもらっては少し困るのだが」
レジェンスは苦笑する。
「に対して強引な事ができなくなる」
「え…?」
そう言うと彼はそっと彼女の頬に手を添えた。
(…こ、これは…)
次第にレジェンスの顔が近づいてくる。
(…ど、どうしよ。…っ!)
は思わず目を閉じ俯く。
『ちゅ』
軽く柔らかい感触を額に感じる。
(何だ、おでこか…。って、何、残念がってるの、私!?)
は顔を真っ赤にして額に触れた。
「少しホッとした。そなたに嫌われているわけではないのだな」
(嫌いなわけ…ないでしょ)
笑顔になるレジェンスには胸の鼓動が収まらなかった。
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