「ランく〜ん!?」
はキョロキョロしながら町の中を歩き回る。
「!!」
花屋の前でランに呼び止められた。
「あ、ランくん!! よかったぁ〜。見つかって」
「ホントによかった。
独りになったら、心細いんじゃないかと思っていろいろ走り回ったんだ」
ランの頬が少し赤い。
どうやら本当にあちこち走り回ってくれたらしい。
「ありがと、ランくん!」
は思わず彼の腕に抱きつき礼を言う。
「ちょ、ちょっと、ゴメン!」
しかし、ランは慌てて彼女を自分から引き剥がした。
(え?私、避けられてる!?)
そう思うと急に苦しくなる胸。
「じゃあ、帰ろう」
目を合わせずにそう言うと、前を足早に歩いていくランの後姿が次第にぼやけて来る。
「…」
思わずは立ち止まってしまった。
「…?」
彼女の気配がしないのでランは振り返る。
するとは涙を流していた。
「ど、どうしたの!? 大丈夫!?」
ランは酷く動揺する。
「…ランくんは…」
(…私の事、迷惑だって思ってる?)
「何?」
ランはを覗き込む。
「私の事、嫌い…?」
「っ!?」
思いがけない彼女の言葉に彼は固まる。
「…」
応えを返さないランを見ては背を向け走り出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!――!!」
逃げ出そうとした彼女の肩を彼がガシリと掴む。
「放して…!」
(嫌いなんて言葉、聞きたくないっ!!)
は両耳を押さえて首を振る。
「、聞いてよ!」
ランはそんなを後ろから抱きしめた。
「っ!?」
「…嫌いじゃないよ」
ランの静かな声が微かに聞こえた。
耳を塞いでいたの手が重力に従って下に垂れる。
するとランは彼女の耳元でそっと囁いた。
「嫌いなわけ、ないよ」
は驚きとくすぐったさと恥ずかしさで固まってしまった。
「…君が無邪気だからボクは…」
ランは静かに彼女の身体を放す。
「…」
「戻ろうか」
「…ん…」
ランは真っ赤な顔のの手を取りゆっくりとユーリの家へ向かう。
(…心臓がまだドキドキしてる)
力強く引っ張ってくれる彼の横顔を見つめる。
(ランくんは思ってたよりずっと男の人だった…)
胸に甘くて苦しい痛みを感じながらはランの手の温もりをずっと感じていたいと思った。
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