「じゃあ、私、ブラブラ村を散策します。そこで歴史の事とか聞く振りして探りを入れてみます!!」
「そうですね。では私もご一緒しましょう」
「はい!頑張りましょうね!!」
―村の中―
「果物の種類豊富ですね〜」
「そうですね」
2人は果物屋の前にいた。
「…あ、この木の実って何ですか?」
「…これはこの地域だけに生息するというキッカ草の実ですよ」
「お客さん、詳しいですね」
奥から店主が出てくる。
「私は植物を研究している者でして、それでこの村に…」
「学者さん?そりゃ偉い身分ですねぇ」
「そんな事ありませんよ。誰からも理解されませんから」
穏やかにシャルトリューは笑って見せた。
そんな彼に同情したのか、店主はポンと膝を叩く。
「そうか、苦労してるんですね。あ、そうだ。北の洞窟には珍しい草があるそうですよ。
それに、何やら凄い宝物があるって噂です」
「北の洞窟にですか!?」
「でも、あの洞窟には強い魔物が住みついています。簡単には近づけないでしょう」
「そうですか。それはどうしようもありませんね」
「…残念です」
「まぁ、元気を出しなさい。キッカの実をあげるから」
「…ありがとうございますっ!」
そうしてたちは店主に礼を言い、果物屋から離れた。
「うまくいきましたね!」
「そうですね。いろいろな情報が入りましたし、一旦宿に戻って計画を練りましょう」
「はい!!」
―次の日―
「…ここが例の洞窟か」
「…不思議な力を感じます。どうやら、噂は本当のようです」
ひんやりとした空気が辺りを包んでいる。
しかし微かに何かが中にいるような気配も感じた。
「…つまり、本物の朱玉って事ですね」
「気をつけろよ。どこから魔物が襲ってくるかわからないからな」
そうしてを含めた5人は洞窟の奥へと歩を進める。
「…何だかドキドキしてきた」
「大丈夫ですか?」
シャルトリューがの顔を静かに見つめる。
「は、はい!ちょっと洞窟の中が暗くてジメジメしてるから気色悪いな〜って思って。
それにちょっと肌寒…っくしゅっ!!」
「…ふっ」
軽く微笑むと彼は自分の着ていたローブを脱ぎ、彼女の肩にかける。
「あ、あのシャルトリューさん。私、大丈夫ですから」
「遠慮はいりません。どうぞ着てください。
そのローブは耐久性もあるので、貴女の鎧代わりにと思いまして」
「シャルトリューさん…。ありがとうございます」
「いえ。お気になさらず」
そうしてシャルトリューはにローブを着せる手伝いをする。
「…少し貴女には大き過ぎましたね」
「…でも、温かいです。とても」
普段、ローブで身体のラインが見えない分、目の前にいるシャルトリューがとても細く見えた。
すらりと伸びた手足が恰好いい。
普段近寄りがたいシャルトリューが身近にいたものだからは彼の温もりをとても嬉しく思った。
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