「じゃあ、私、広場で観光してます。そこで歴史の事とか聞く振りして探りを入れてみます!!」
は、頼もしいな。よし、私が同行しよう」
「うん!頑張ろうね!!」



―広場―

 「いい天気〜」
「そうだな」

広場の中心に立っていたはうーんと背伸びをしながら空を眺める。
そこには雲ひとつない青空が広がっていた。
そんな空と彼女を眺めるレジェンスも心なしか頬が緩んでいる。

「…あ、ここって昔から栄えてるんだよね?何か古い歴史がありそう」

はざっと見回すと、村で一番大きい木下で絵を描いている老人の所へ歩み寄った。

「すみません」
「…何かの?」
「この村って落ち着いてるんですけどでも、市場とか栄えてますよね
 昔からそうなんですか?」
「そうじゃなぁ…。10年くらい前から豊作が続くようになったかの」
「恵まれているのだな」
「まるで魔法みたい。急に豊作が続くなんて」
「魔法…のう。北の洞窟にある石のおかげという噂もちらほら耳にするわい」

絵を描く手を止め、老人は顎鬚を撫でるように触っている。

「洞窟か…。その石は見る事は出来るのだろうか?」
「うんうん!! そんな凄い石、一度見てみたい!」
「…それは難しいじゃろうなぁ。あの洞窟には強い魔物が住みついておる。
 簡単には近づけないんじゃ」
「…そっか〜。一度見てみたかったのに、残念」
「仕方ない。観光を続けよう」
「そうだね。おじいさん、面白いお話してくれてありがとう!」
「こんな老人の話でよければまた来ておくれ」
「はいっ!」

そうしてたちは老人から離れた。


 「うまくいったね!」
「あぁ。宝玉の場所もわかったし、簡単には手に入らない事もわかった。
 今日は宿に戻ろう。それから明日の計画を考えよう」
「うん!!」



―次の日―

 「…ここが例の洞窟か」
「…不思議な力を感じます。どうやら、噂は本当のようです」

ひんやりとした空気が辺りを包んでいる。
しかし微かに何かが中にいるような気配も感じた。

「…つまり、本物の朱玉って事ですね」
「気をつけろよ。どこから魔物が襲ってくるかわからないからな」

そうしてを含めた5人は洞窟の奥へと歩を進める。


 「…何だかドキドキしてきた」
「大丈夫か?」

彼女の言葉でレジェンスが歩みを止める。

「う、うん!ちょっと洞窟の中が暗くてジメジメしてるから気色悪いな〜って思って」
「そうか。今の所、それほど強い魔物も出て来ていないしは何も心配しなくていい」
「…うん。ありがと、レジェンス」

彼の言葉に励まされたは笑顔で頷いた。
そうして薄暗い洞窟の中を一行は更に進んでいく。

『ギャーオーン!!』

「きゃっ!!」

突然洞窟内に響き渡る声に怯える

「大丈夫だ、

そう言うとレジェンスは彼女を抱き寄せた。
そんな彼の行動には驚き戸惑う。

「れ、レジェンス!? あの…放して?戦いの邪魔になっちゃう」
「平気だ。それに、そなたを1人にする方がずっと心配だ」
「レジェンス…。ありがとう」

暗闇の先に光って見える光はどうやら魔物の目らしい。

「…キラーウルフが4匹か。まぁ、何とかなるかな」
「しかし、ここは狭くて暗い洞窟の中です。むやみに壁を壊さないように」
「了解です!!」

そうして彼らは戦闘体制に入る。

「…、心配するな。私がついている」
「…うん」

そうしてレジェンスはを片手に抱いたまま、レイピアを針のように操り、魔物をすばやく倒した。

「怪我は…してないな?」
「うん。…ありがとう」

は何故かレジェンスの顔を真っ直ぐに見れなかった。



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