「じゃあ、私、宝石屋に行きます。そこで石の事、探りを入れてみます!!」
「そうか。俺も一緒に行くから絶対、情報手に入れるぞ!!」
「うん!頑張ろうね!!」



―宝石屋―

 「わ、この石きれ〜。何ていう宝石だろ」
「これか?これはアークストーンっていってこの国でしか採れない宝石なんだ」
「そうなんだ〜!ククルって宝石の事もよく知ってるんだね。
 …もしかして、いつも女の人にプレゼントしてるとか?」
「ばーか。んなわけあるか。…俺の知人が、そういうのに詳しいんだよ」
「…ふーん」

(…それって女の人なのかな。何か少し気になる)

少しムスッとした表情の彼女に声がかけられた。

「痴話喧嘩かい?お2人さん」
「やだな、そんな事ないですよ〜」

店主に話しかけられ、は笑顔を向ける。

「…なぁ、オヤジさん。ここにある石もいいモンだけどよ、
 もっとスゲー石、知らないか?…どうしてもそれをあげたいヤツがいるんだ」

(これって演技なのかな…?それとも、ホントに渡したい人がいるのかな…)

彼は真面目な顔で店主を見つめている。

「そうだねぇ…。あ、そうだ!北の洞窟に凄い宝石が眠ってるって噂があるぞ」
「洞窟に、ね…」
「…だが、あの洞窟には強い魔物が住みついてる。今まで誰も見た事ないって話だ」
「…そっか〜。一度見てみたかったのになぁ」
「仕方ないだろ。魔物が住むなんて聞いたら誰も近づけないって」
「そうだね。…あ、おじさん。この小さい石ください。お守りにするから」
「お守りねぇ。…まぁ、お2人さんならこんな石がなくても大丈夫とは思うがね。…毎度ありがとう!」
「どーもありがとう!」

そうしてたちは宝石屋を出た。

「…ねぇ、あの石って何か意味があるの?私はただ色が好きだったんだけど」
「…あの石は恋愛成就とか、夫婦円満とか安産とかのお守りなんだよ」
「あ、そうなんだー。でも、私恋とかしてないしな。ククル、いる?」
「いらねーし!」
「そういわずに。プレゼントしたい人がいるんでしょ?あげるよー。はい」

そうしては石を強引にククルに渡す。

「…まぁ、とにかく。宝玉の場所もわかったし、魔物がいるって事もわかった。
 今日は宿に戻って明日の計画を立てるぞ」
「うん!!」



―次の日―

 「…ここが例の洞窟か」
「…不思議な力を感じます。どうやら、噂は本当のようです」

ひんやりとした空気が辺りを包んでいる。
しかし微かに何かが中にいるような気配も感じた。

「…つまり、本物の朱玉って事ですね」
「気をつけろよ。どこから魔物が襲ってくるかわからないからな」

そうしてを含めた5人は洞窟の奥へと歩を進める。


 「…何だかドキドキしてきた」
「そんなに怖いなら洞窟の入り口の所で待ってればよかったのに」

ククルが隣を歩きながらボソリと言う。

「やだ!! 1人で待ってる方が不安だもん!」
「はっ!気が強そうに見えるのに、意外と弱虫だな」
「…悪かったわね」

ムッと口を尖らせながら薄暗い洞窟の中をは進んでいく。

『バサバサバサっ!!』

「きゃっ!!」

突然洞窟内を飛ぶコウモリに驚くと、前を歩いていたククルが振り向いた。

「心配するな。ただのコウモリだよ」
「そうだけど…」

突然の物音に、の心臓はなかなか落ち着いてくれない。

「…っていうか、いつまで俺の背中にしがみ付いてんだよ?」
「あ、ご、ごめん!!」

慌てて掴んでいたククルの袖を放す。

「ま、いいけどよ。離れてる方が心配だし」
「…」
、俺の後ろにいろよ?守ってやるから」
「うん。…ありがとう」

その瞬間、ククルの背中がとても大きく、温かく見えただった。




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