「じゃあ、図書館に行って調べ物します!」
「そうですか。では、私がご一緒しましょう」
「いいんですか?」
「はい。私も宝玉の事を調べようと思っていましたから」
「そうですか。じゃあ、よろしくお願いします!!」



―図書館―

 「難しい本が多いですね」
「そうですね。ここは昔から多くの専門書を貯蔵していると聞いています」
「ふ〜ん…」

そう言い、は分厚い本をパラパラとめくる。

「…駄目だ。頭痛がしてきた」

本の内容の難しさと、文字の小ささで読む気も起きなくなってしまった。

は物語でも読んでいたらどうです?
 宝玉の事は私が調べておきますから」

「え、でも…」
「この大陸の伝説を基にした物語はいくつもあります。
 それを読んでおくといいでしょう。この大陸の事もわかりますし」
「…そうですね。じゃあ、物語、探してきます」

何となく用なし宣言をされてしまった気もするが、
きっとシャルトリューなりの気遣いだろうと思いは物語を置いている棚の方へ移動した。


 「ふむふむ…。この大陸には光の国・アーク国と、闇の国・バーン国があって、
 昔から伝説の宝玉をめぐって対立してる…と。でも、決定的な勝敗はついてなくて睨み合いが続いてるのかぁ…」

は脚立に腰掛けて本を読みふけっていた。

(何だか切ないなぁ。同じ大陸に住んでるっていうのに)

、何か興味のある本は見つかりましたか?」
「っわ!?」

いきなり声をかけられはバランスを崩し、後ろ向きに落下しそうになる。

「おっと!…大丈夫ですか?
 すみません、私が急に声をかけたばかりに」

落ちると思った瞬間、シャルトリューが彼女を後ろから抱きとめるような形で支えていた。

「い、いえ!私がボーっとしてたのが悪いんです。
 助けていただいてありがとうございました」
「いえ、貴女が無事ならばそれでいいのですよ」

そう言い微笑むシャルトリューに思わず見惚れる。

(何ていうか…、シャルトリューさんって美人…。それに何か神秘的でセクシーだし)

「どうかしましたか?」
「い、いえ!! あ、あの…。シャルトリューさんっておいくつなんですか?
 とても落ち着いてるから私よりも年上かなって思うんですけど」
「確かに貴女より年上かもしれませんね。貴女は可愛らしい人ですから。
 年齢は、19歳です」
「か、可愛らしくだなんて…。 あ、19歳なんですか!? 
 …大人っぽいですね」

は彼の言葉と、年齢よりずっと大人に見える彼の物腰の柔らかさに驚く。

「昔から大人の中で育てられましたから年齢よりも老け込んでいるのですよ」
「老け込んでるだなんて!私、大人っぽくて素敵だと思います!!」

図書館であるという事も忘れて、拳を握り力説する彼女にふっとシャルトリューは笑った。

「…貴女は優しいんですね」


その微笑を見て、は少し彼との距離が縮まったような気がした。



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