雨の七夕




 今日は7月7日、天候は雨。
織姫と彦星が年に一度会うことのできる日。

なのに雨が降って可哀想――そんなことを言ったら隣人が笑った。

「中学生にもなって信じてるの?」
「悪かったわね」

ジャンプして行き来できるくらいの近距離にある両家のベランダで2人は空を見上げる。

「雨降って残念だね。今日はいい感じの女の子と花火大会に行く筈だったんでしょ?」

近頃よく聞く女の子の名前を口にしたら彼は意地悪そうに笑った。

「別に。第一、1回デートしたり延期になったりしたところで、そうそう関係は変わりはしないよ」
「そりゃそうか」

そんな返事をしながら黒い雲を見つめる。

「でも私は花火、見たかったなー」
「……まぁまぁ。どうせ1週間後に打ち上げられるんだし、たまには雨降りの七夕もいいんじゃない?
 こうやって2人で並んで話す七夕は今年までかもしれないし。
 それに空の上は雨なんて降ってないから織姫と彦星も今頃会ってる筈だって」
「そっか、そうだね」

彼らしい慰め方に微笑みながら頷く。

「そういえば、そっちは予定もなかったんでしょ? お気の毒。
 例の祐貴っていう奴、誘うだけ誘ってみればよかったのに」
「……そんなのできたら苦労しないわよ」

ふぅ、とため息をつきながらベランダの柵に乗せた腕に顎を置く。
そんな姿を見て、同じような体勢をしていた彼は少し視線を落とした。

「…お前がもっと自分に自信持ってガンガンいける奴だったらね……」
「え?何か言った?」
「ううん、何でもない。ねぇ、そろそろ部屋に戻らない?
 微妙に雨が降り込んできてるんだけど」
「そうだね」

掌を上にして雨の様子を伺う。
確かに先程よりも雨は強くなってきているし、降る角度も鋭くなってきたみたいだ。

「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」

そうして手を振って2人は部屋に戻ろうとするが、あることを思い出し慌てて彼を呼び止める。

「何?」
「…ヒロのお願い、叶うといいね」

その言葉に一瞬キョトンとしたが、クスリと笑って彼も口を開いた。

おまえの願いもね」

うん、と頷くと再び2人は手を上げて挨拶し、部屋へと戻っていく。




 ――そんな数年前の七夕の話。
は…覚えてる?












七夕用に。イラストは星空をイメージして描いたので全然雨じゃないですけども(;´▽`A``

この登場人物は『LOVE×style』(ラブスタイル)という物語に出てきます。
もう5年くらい前に考えた話で、はっきりいってキャラの名前を数人忘れてしまいました^^;
設定を書いた紙を捨ててしまったようで…・

さて。
いつかこの物語を書こうと思っているのですが、なんせこの攻略キャラはメインで8人、
今の所設定のある隠しキャラ2人で、かなりの大人数でして^^;
(更に隠しキャラを2人くらい追加しようと思っていたり)
ちなみに、あまりに多すぎるので、<ver.hot><ver.cool>の2つに分けるつもりです。
さすがに10人くらいを同じ物語内で書こうとすると…どんだけ分岐するの、って感じで大変なので。
共通ルートを書いた後は、各キャラで話を書いていこうかな、という感じです。
…そんなこんなで小説にするのが大変な為、なかなか書けずにいます。
できればゲームにしたいんですけどもね。
いつかできればいいなぁ…。

……というわけで、短いですが七夕の話でした。
読んでくださったお客様、ありがとうございました!! どうぞ、素敵な七夕の日をお過ごしくださいませ^^


吉永裕 (2008.7.7)


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