「、大丈夫?」

持っていたカップを机に置くと、真織は慌ててに駆け寄り手を握った。

「…うん。大丈夫。ちょっと変な夢を見ただけ」

が笑いかけると彼はベッドに腰掛け、そんな彼女の頭を撫でる。

「あ、お茶入れたけど飲む?温かくて落ち着くよ」
「うん、ありがとう。貰おうかな」
「よかった。じゃあどうぞ」

真織がカップを持ってきてに差し出した。

「頂きます」

は微笑んでカップに口をつけた。
仄かな香りで気持ちが穏やかになる。

「ありがとう、真織。ご馳走様。
 何か元気になった〜って感じ」

そう言ってはカップを返した。

「あはっ、よかった。
 じゃあ僕、部屋から出てるから、着替えなよ」

そう言われて自分が何も身につけていないことに気づく。

「…」

そうだ。あのまま寝ちゃったんだ…。
は、恥ずかしい。

は慌てて布団で顔を隠す。

「お風呂沸かしてくるね」

そう言うと真織は真っ赤なの耳にキスをして部屋から出て行った。

「…真織…」

彼を失いたくない――は胸が締め付けられる思いで真織を想った。

明日、もし真織に何かが起こりそうになったら命を懸けて彼を守ってみせる。

グッと心に誓い、は服を着始めた。



 と真織は町の外れの教会にいた。

「…真織、教会に来ていいの?だって真織、神社の息子なのに…」
「大丈夫だよ。それに一度、来てみたかったんだ」

そう言っての手を引いて真織は奥へと進んでいく。

「えっと…何て言うんだっけ…」

真織はうーんと考え、はわけもわからず目の前の彼を見上げる。

「まいっか」

と微笑むと真織はの右手を握って真剣な表情をする。

「――僕は…蓮妙路真織は今、目の前にいると明日、婚姻の儀を交わします」
「…」
はとても優しくて笑顔が素敵な女性です。僕はそんな彼女に何度も救われました」

は真織の瞳に飲み込まれそうな思いで彼を見つめる。

「…だから今ここで誓います。僕はを永久に愛し、傍にいることを。
 今後、彼女に降りかかるであろう恐怖や不安から僕がこの手で守っていきます」
「…真織…」

は握られた真織の手にそっともう片方の手を添えた。

「明日、全部終わったら本当の夫婦になろう、
「…うん」

が涙を目に滲ませて微笑むと、真織は彼女を抱き寄せる。

「真織…私も貴方を愛してる」

そうして真織はそっとの額に誓いのキスを落とした。


 2人は並んで夕暮れの町を歩く。
昔、道場で身体に痣を作って泣いていた真織が今はとても頼もしい。
は通っていた道場の前で足を止めた。

「…懐かしいね、ここ」
「うん。僕とが出会った場所…」

は修行で各地を転々としていたから2年しか通っていなかった。
その短い期間のことなのに、しかもとても幼かった自分たちが互いを覚えていたことが奇跡のように思える。
すると道場の中から師範の声と子どもたちの気合の入った声が聞こえてきた。
その懐かしさに2人は顔を見合わせて微笑む。

「今度、お土産持って遊びに来ようか」
「うん」

そう言っては真織の腕に手を回した。
彼は顔を傾けて微笑みかける。

「そろそろ行こうか。暗くなっちゃうね」
「うん」

そうして2人は穏やかな気持ちで家路についた。











この間、ちゃんと日数を計算してみたんですよ。
そしたらあと3日くらいあるだろうと思っていたらあと1日しかないことが判明し、焦りまくった私です。

さて、最近真織が暴走気味だったので、のほほんカップルに戻しました。
でも実際に2歳から4歳の時の記憶ってそんなに鮮明じゃないよな〜と自分でも突っ込みながらの
無理矢理設定ですが、もう、それでゴリ押しです。

ちなみに真織の家は隣町の神社という裏設定。


さぁ、ボチボチ決戦になりますが、果たして1話で終わるか、自分でもまだよくわかりません。
でもどれもベストな終わり方にしたいと思います。たとえそれがベタでも、無理矢理でも…っ!!
温かい目でどうか見守ってください。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!!


吉永裕 (2006.2.19)




次に進む   メニューに戻る