5月23日(月)
今回も彼女を救えなかった。劇中に照明が落ちて即死だった。
今回こそは入れ替わりによって今まで彼女が過ごし得なかった生活を送ったから大丈夫かもしれないと思っていたのに。
どんなに21日をやり直しても、前日や直前に周囲を点検して問題がなくても原因不明の突発的な事故で彼女は死んでしまう。
彼女を救う為に時間を戻しているつもりなのに、結局自分は彼女を殺している。どうすれば彼女が生きる未来になるのだろうか。
しかし、今回は彼女の死後に日記を借りることができた。日記を読む限り、彼女は誰かに恨みを買うような人物ではない。
気になるのはピアノの夢だ。もしかすると彼女の死と夢に関連があるのだろうか。だが、関連があるとしても夢に介入などできはしない。
結局、彼女が死んでいくのを傍観することしか許されないのかもしれない。
神でもないただの人間が死にゆく者の命を救おうだなんて考えること自体、傲慢なことなのか。
それでも彼女を救いたい。自分の為にも。その為に見ているだけの存在でいることはやめたのだから。
ペンを置いたらあの日に戻ろう。
最初の頃は21日の朝にしか戻れなかったけれど、力の扱いに慣れた今なら次もまた5月2日に戻れる筈だ。
次こそは彼女を救ってみせる。たとえ彼女が存在する未来で彼女の笑顔を向ける相手が自分ではなくても、彼女が生きていればそれでいい。
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