―その後―
「ヤン、どこに行くの?」
「折角だから2年前に泊まった宿に泊まろうと思いまして」
「わ、ホント!?」
そうしてたちは2年前に泊まった宿のある町にやってきた。
「2人一緒の部屋でいいですよね?」
「え!? う、うん…」
(何か…緊張しちゃうなぁ)
『パタン』
ドアを閉めて2つ並んだベッドを見ると途端に恥ずかしくなる。
「何だか緊張しますね」
「い、言わないでよ。意識するじゃない」
2人はドアの前で立ち尽くしている。
「でも、今日からずっと貴女は私のものですし、遠慮はいらないですよね」
「え…」
ヤンはの手を握る。
「結婚しましょう」
「け…結婚…」
「嫌ですか?」
「ううん。むしろ涙が出そうなくらい嬉しい」
「もう泣いてますよ?」
「…ホントだ」
そんなの涙を拭い、ヤンは頬にキスをする。
「愛しています。誰よりもさんを…」
「私も…ヤンを愛してる」
2人は静かに抱き締め合った。
―3年後―
「パパ、見てっ!」
「気をつけるんですよ。 貴女はママに似てお転婆でおっちょこちょいなんですから…」
研究員の副所長になり、たまにしか休みのないヤンは、公園の木に上る娘をハラハラしながら見つめる。
「ヤンはホントに子煩悩なんだから…」
「あぁ、!! 重いものは持たないでください!」
の持つ弁当や水筒の入ったバックをヤンが慌てて取り上げた。
「大丈夫だって」
「そういう油断が危ないんです!! 胎児も心配ですけど、私は貴女の身体も心配なのですよ!?」
そんな夫には微笑む。
「…ありがとね、ヤン」
「こちらこそ。…貴女と出逢えてよかった。生まれてきてくれてありがとうございます」
「…大袈裟」
「いくら言っても足りませんよ」
ヤンの穏やかな笑顔を見ても微笑む。
「ね、この子が生まれて落ち着いたらさ」
「はい?」
「どっか旅行行かない?2人きりで」
「いいですよ。子どもたちはうちの両親が喜んで預かってくれますしね」
「楽しみだな!」
「私もです。たまには夫婦水入らずでいちゃいちゃしたいですよね」
彼は天使のような笑顔を向ける。
「もう、ヤンってば」
ヤンと自分に似た娘を見つめ、お腹の中の新たな命の鼓動を感じながらは幸せを実感するのだった。
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