―その後―


「…で、私はどうしたらいいの?」

はエドワードと2人、山の麓に残され戸惑う。

「一緒に来い。…お前には言いたい事が山ほどある」

エドワードはを抱え、馬に乗せる。

(…やっぱり性格最悪って手紙に書いた事、怒ってんのかなぁ…。もう2年も経ったのに根に持つ奴…)

そんな事を思いながら、相変わらずバラの香りのする彼の胸に身体を預ける。

「着いた」

そうしてエドワードは馬を止め、を馬から降ろした。

「ここは?」
「私の家だ」
「…そっか。お城は国がなくなったから、博物館として保存される事になったんだっけ? で、追い出されたんだ」
「嫌味はいいから早く入れ」

そう言い、エドワードはを家の中に招く。

「…エドワード、子どもいるの?」

部屋には子どもと写っているエドワードの写真が至る所に飾られていた。

「いや…。彼らは私の生徒だ」
「生徒…?ってエドワード、先生なの?」
「あぁ。初等教育学校の教師をしている」
「…クスっ」

は思わず笑う。

(あの堅物のエドワードが教師!?)

「…笑うな」
「笑うに決まってんでしょ!」

照れる彼を見て一層笑いがこみ上げてくる。

「…本当に貴様は」
「――んっ…!?」

エドワードが強引に顔を持ち上げてキスをした。

「…会いたかった。 …」
「…エドワード…」

彼は強く抱きしめる。
もエドワードの背中に手を回した。

「何も言わず、あんな手紙1つだけ残して消えるなど…。お前は本当に、私の気持ちを全く考えない女だ」
「え、エド――」
「好きだ」
「!?」

エドワードはをソファに押し倒す。

愛している、
「…っ…早く…言ってよぉ…」

ポロポロと涙が零れた。

「言わなければわからないのか、馬鹿者」

怒り口調だが彼は微笑んでいる。

「…急に消えてごめん」
「2度とあんな手紙を残して消えるな」
「うん。…もうどこにも行かない」
「放さない」

は微笑みエドワードの首に手を回してキスをした。




 ―3年後―


「おーそーい」
「そうむくれるな。職員会議が長引いたのだ。土産を買ってきたから機嫌を直せ」
「わ〜い!」

2人は空白の2年間を埋めるべく、未だに結婚せずに恋人気分を味わっていた。

「で、今日のお土産は何?ケーキ?」

はエドワードの腕に抱きつく。

「自分の目で確かめろ」

そう言い、エドワードは大きめの箱をに渡し、服を着替えに寝室に行ってしまった。

「何かな、何かな〜」

ワクワクしながら箱を開けるとそこには『sweet of fruits』と書かれた香水の瓶ともう1つの小さい箱が入っていた。

「フルーツの香りの香水…。 エドワードったら昔の約束、覚えててくれたんだ」

その香水をシュッと軽く手首につけてみる。

「甘くて美味しそう…!」

は大満足だ。

「こっちの箱は何だろ」

そうしてもう1つの箱を開けると、そこには小さいけれど燃える様に赤く輝く石のついた指輪が入っていた。

「…え…エドワード!!」

はその指輪を握り、バンっと寝室のドアを開ける。

「…もう少し淑やかなれ」
「だってだって…」
「…来い」

エドワードは苦笑してを呼ぶ。

「あ、あのさ。指輪…、ありがとう…」
「…貸せ」
「うん…」

は指輪を渡す。
そしてエドワードは彼女の左手の薬指に指輪をはめた。

「私の妻になれ」
「なってください、でしょ?」

はエドワードにパンチする。
それを避けたエドワードが微笑んだ。

「…その香水、悪くないな」
「うん。私、この香り好きだよ!甘くて美味しそうだし」

そう言うとエドワードがニヤリと笑う。

「食べたくなる」
「え!?」

そしてそのままベッドへダイブ。

「もう、エドワードのエッチ〜!! ムードが台無しじゃない!」

そんな事を言いながらも、は幸せを実感するのだった。


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