―その後―
「…えっと…。これからどうしようか」
「…私、家とか探さないと」
「そうだよね。元々はこの世界の人じゃなかったわけだし…」
2人はう〜ん、とこれからの事を考えた。
「じゃあさ、ボクの家がある町で家を探さない?
そこならボクの家族もいるし、ボクだっているから心細くないでしょ?」
「うん!」
そうして2人はランの住む町へ向かった。
「ここがボクの家だよ」
「へぇ…。ここがランくん一家が住む家か」
「わ、ランの彼女!?」
「マジで!?」
2人の気配を感じたらしく家の中から青年が2人出てきた。
「「可愛いっ!!」」
「!?」
はその勢いに驚く。
「ちょっと、兄さんたち。が驚いてるでしょ」
ランは苦笑する。
「は、初めまして…。といいます」
「初めまして。俺は長男のリキ」
「初めまして。僕は次男のタクトです」
(ランくんのお兄さんという事は、19歳以上って事か…。ランくんと一緒で元気で若いなぁ)
はイエーガ家の兄弟たちを見て微笑む。
「ラン?戻ったの?」
そうして次に出てきたのは可愛らしい女性と若くて端正な顔立ちの男性だった。
「あ。父さん、母さん。彼女がだよ」
(両親!? 若くて素敵…)
「初めまして。 です」
「…本当に生き返られたのですね」
「はい。皆さんのおかげで、再びこの世界に戻って来る事ができました」
「よかったわね、本当に…」
ランから話を聞いていたのだろう。彼の一家はに対して友好的だった。
「…それで、この町で家を探そうと思うんだけど」
「うむ…。だったら、2軒隣の家が空いていたとは思うが…。 そこに住めるか聞いてみよう」
「ありがとうございます!」
「しかしこんな可愛い女性が1人で住むなんて少し心配じゃない?」
「だったらランも一緒に住めばいいじゃん」
「え!?」「え!?」
リキの提案にとランは驚く。
「将来結婚するつもりなんだろ?」
「そ、それは…まぁ、ボクはそうしたいと思ってるけど」
は驚くが喜びの方が大きかった。
「ボクが一人前になって、がその時までボクの事を好きでいてくれたら結婚したいって思ってる」
ランはきっぱりと言った。
「さんはどうかな?」
「わ、私もランくんと結婚したいです」
ランの父親には緊張しながらも答える。
「それなら一緒に暮らすといい。 近くに私たちもいる事だし、心配いらないだろう」
「ありがとう、父さん」
そうして、たちは家族公認の仲となり、結婚を前提として同棲する事になった。
「…ふぅ」
「、疲れたでしょ?大丈夫?」
次の日、は新しい家に引っ越した。
ランの家から彼の私物を運び、の洋服や家具なども新しく買ったため、2人はクタクタだった。
「お茶入れようか」
「あ、ボクが入れるよ。座ってて」
そう言ってランはお茶を入れてくれた。
「えっと、私たちの新たな人生に乾杯」
「乾杯」
「…これからもよろしくね、ランくん」
「よろしく、」
そうして2人は寄り添って仲良くお茶を飲んだ。
―3年後―
「っ!!」
「どうしたの?」
父親の店からランは息を切らせて帰ってきた。
「マジェスの町に、うちの店の支店を出すんだって。 それでボクがそこを任される事になったんだ」
「凄いじゃない!! じゃあお祝いしなきゃ!」
は嬉しそうに台所に行き、冷蔵庫の中を確認する。
「あ〜、ワインがないや。折角だし、買いに行って来るよ」
「じゃあボクも一緒に行くよ」
「ホント?じゃあ一緒に行こっ」
2人は手を繋いで買い物に行く。
「…ランくん、酒屋さんはこっちじゃないよ?」
「いいの」
そう言い、ランはの手を引く。
「…ここって…」
そして着いた所はアクセサリーの店だった。
「今でもボクの事、好き…だよね?」
「…勿論」
「…ボクと一緒にマジェスに来てくれますか?」
「…うん。マジェスだろうが他の国だろうが、ランくんと一緒ならどこにでもついてく」
「よかった。…結婚しよう、」
「…はい…」
そして2人は店に入り、婚約指輪と結婚指輪を買う。
そして早速、婚約指輪を身につけ、2人は手を繋いでワインを買った。
帰り道、手を繋いで1つになった影を見ては幸せを実感するのだった。
次に進む